アンドレス・イニエスタは、５月20日のリーガ・エスパニョーラ最終節、レアル・ソシエダ戦を最後に、12歳から22年間を過ごしたバルセロナに別れを告げた。

　そして、まもなく日本にやって来ると噂されるこのスペイン代表MFを形容する言葉は、「謙虚な天才」、「ボールマジシャン」、「魔法使い」、「宇宙人」…と、数多く存在する。

　では、彼と同じくサッカー界でスーパースターと言われてきた男たちは、イニエスタをどう評価しているのか。

　バルサでほぼ同じ時代を過ごしてきたリオネル・メッシとシャビ、かつての恩師ジョゼップ・グアルディオラ、敵将ジネディーヌ・ジダン、そしてユベントスのクラウディオ・マルキージオが残したコメントには、まさしくイニエスタの魅力が凝縮されていた。
 

●リオネル・メッシ（バルセロナFW）
「アンドレスはどんなプレーも当たり前のようにこなしてしまう。その難しいことを簡単そうに見せてしまうレベルが、彼の場合は半端じゃないのさ」

●シャビ（元バルセロナMF）
「素晴らしい功績を成し遂げた選手が（バルサに）別れを告げ、レジェンドとなった。アンドレスのサッカー選手としての才能はすでに広く知れ渡っている。僕が強調したいのはその素晴らしい人間性だ。チームファーストを常に心がけてプレーしつづけた」

●ジョゼップ・グアルディオラ（マンチェスター・シティ監督）
「アンドレスはサッカー選手として本当に多くのものを勝ち取った。だが私がそれ以上に評価したいのは、キャリアを通じて見せたプレーの一つひとつ、そしてプロ意識の高さだ。いつの日かバルセロナに戻って、若い選手たちにその知識と経験を還元してもらいたい。わたしは彼を指導することで、日々練習に取り組む姿を見ることで、たくさんのことを学ばせてもらった。どんなプレーもシンプルにこなす技術、どんなときも自然体に振る舞うことができる人間性、どんな任務も完璧にこなそうと努力する強い責任感、緩急自在のパスとドリブル、まさに唯一無二の才能の持ち主だった」

●ジネディーヌ・ジダン（レアル・マドリー監督）
「私はイニエスタをバルサの選手としてではなく、サッカーを職業とする同志として見ている。彼と会話を交わしたのは２、３回程度だけど、とても控えめで感じのいい人物という印象を持っている。わたしは彼のように、試合に勝つために全力を尽くし、ピッチを離れると控えめに振る舞える人間が大好きだ。イニエスタには称賛の言葉しか思い浮かばない。今後の幸運を祈っている」

●クラウディオ・マルキージオ（ユベントスMF）
「イニエスタがボールに触ると、なにか素晴らしいことが起こるんじゃないかという予感が生まれる。結局のところ、僕たちがサッカーの魅力にこれほどまでに取りつかれているのは、そうしたワクワク感があるからだ。初めてボールを持った少年が夢見るようなプレーを、彼はずっと体現しつづけてきた。サッカーの魅力を身を持って示してくれた。アンドレス・イニエスタ、あなたにありがとうと言いたい」

翻訳：下村正幸