「幅を作る」ロッベンを失ったバイエルンは…
先週のチャンピオンズ・リーグ準決勝、バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリーの第1レグ。立ち上がりから試合を押し気味に進めていたのは、ホームのバイエルンだった。
マドリーはマンマークに近いプレッシングでボールの出所を封じに来たが、バイエルンはボールを繋げる力を顕示していた。
マドリーはマンマークに近いプレッシングでボールの出所を封じに来たが、バイエルンはボールを繋げる力を顕示していた。
しかし、8分のことである。右サイドで攻撃の一翼を担うはずだったアリエン・ロッベンが怪我でチアゴ・アルカンタラとの交代を余儀なくされるアクシデント……。これで、バイエルンの優勢は急速に萎んでいった。
そこからは、繋がっていたはずのボールが繋がらなくなった。28分にカウンターからヨシュア・キミッヒのゴールで先制したものの、それ以後、バイエルンは完全にペースを失った。結局はマドリーに2失点を食らい、試合を落としている(第2レグは2-2の引き分けに終わり、バイエルンは敗退)。
試合序盤でロッベンを欠いたことは、バイエルンにとっては致命的だった。彼が右サイドに陣取り、ボールを受ける。それだけで、マドリーに脅威を与えられた。相手をスライドさせることで、精神的、肉体的に追い込んでいた。
「幅を作る」
そういう戦術的作業を、ロッベンは遂行していたのだ。
そのせいで、マドリーは広大なスペースを守り切らなければならなかった。外を守ろうと思えば、中が手薄になる。中を厚くすると、外から抉られる……。それが、ロッベンがいなくなって、危険な状態から脱することができた。
ロッベンを失ったバイエルンは、トーマス・ミュラーを右のシャドーストライカーのようなかたちで置き、SBのヨシュア・キミッヒに高い位置を取らせ、サイド攻撃の厚みを上げようとしていた。
しかし、それは応急処置であり、生粋のサイドアタッカーの穴を埋めることにはならない。控えのサイドアタッカーであるキングスレー・コマンも欠いていたことが、バイエルンにとっては運の尽きだったと言えるだろう。
左サイドではフランク・リベリが健闘したものの、“片翼飛行”では十分ではなかった。