プレミアリーグ第36節
マンチェスター・ユナイテッド対アーセナル
４月29日（日）16:30（日本時間４月30日0:30）キックオフ／オールド・トラフォード（マンチェスター）

マンチェスター・U
前節までの成績：２位　勝点74　23勝５分け６敗　65得点・26失点
アーセナル
前節までの成績：６位　勝点57　17勝６分け11敗　66得点・46失点

 
　今シーズン限りでの退任を表明したアーセン・ヴェンゲルにとって、これがアーセナルの監督として戦う最後のマンチェスター・ユナイテッド戦だ。
 
　1996年10月の就任からずっと、ヴェンゲルの前に立ちはだかってきたのがユナイテッドだった。とくに2000年代半ばまでは、プレミアリーグの覇権を争う直接の、強大なライバルであり、数々の激闘を繰り広げた因縁の相手だった。ユナイテッドを率いるのは、アレックス・ファーガソン。その御大との丁々発止のやり取りが実際の試合に彩りを加え、時にはピッチでの戦い以上に注目を集め、ファンの興奮を煽った。
 
　ヴェンゲルのアーセナルとファーガソンのユナイテッドは、97-98シーズンから03-04シーズンまでの７年間、他のチームの追随を許さずプレミアのタイトルを独占した。
 
　就任２年目（97－98）にアーセナルを頂点に導いたヴェンゲルを、98－98シーズンに王座から引きずり下ろしたファーガソンとユナイテッドは、00－01シーズンまでリーグ３連覇を達成する。翌01－02シーズン、宿敵の前人未踏の４連覇を阻んだのはヴェンゲルとアーセナルだ。敵地オールド・トラフォードでの直接対決で引導を渡しての戴冠だった。
 
　ヴェンゲルの金字塔は、03-04シーズンの無敗優勝だ。26勝12分け０敗で、1888-89シーズンのプレストン以来、115年ぶりとなる快挙を成し遂げた。無敗の快進撃は翌シーズンまで続いたが、それを49試合で止めたのがファーガソンのユナイテッド。文字通りの好敵手だったのだ。
 

　皮肉にも、ヴェンゲルのアーセナルはそこから徐々に競争力を失い、「インビンシブルズ（無敵の軍団）」と称された無敗優勝を最後にリーグタイトルから遠ざかっている。
 
　ユナイテッドも、13年のファーガソンの勇退から下降線を描き、この５年間はプレミア制覇どころか優勝争いにも絡めていない。
 
　ヴェンゲルがアーセナルの監督として戦う最後のユナイテッド戦は、覇権の行方を左右する大一番ではもはやない。今シーズンのプレミアは、すでに決着がついている。就任２年目のジョゼップ・グアルディオラ監督の下で圧倒的な強さを見せたマンチェスター・シティが４年ぶり５回目の優勝を決めたのは、２週間前の４月15日だった。
 
　４月29日。敵地オールド・トラフォードのサイドラインに立つヴェンゲルの胸にはどんな思いが去来するのか。
 
　ヴェンゲルの対ユナイテッド戦の通算成績は19勝13分け27敗。もっとも多く対戦し、もっとも多く負けている相手である。