大きな責任を感じながら、計り知れない重圧の中で、約22年という長きに渡って戦い続けてきたのだから、その後の身の振り方など簡単には決められないだろう。

　アーセナルは４月20日、1996年からチームを率いてきたアーセン・ヴェンゲル監督が、今シーズン限りで退任すると発表した。英国営放送『BBC』によると、ヴェンゲル監督は22日の会見で、「私がこれまで下してきたさまざまな決断は、すべてアーセナルのためのものだった」と振り返っている。

「クラブの構造や個々の選手の成長、そしてもちろんプレースタイルについても。それらを考えたうえで結果を出すのは、いつだって大変だった。私は後任の監督に、今後20年でさらにうまくやれる機会を与えることができたと思っているし、そうなることを願っている」
 

　その後任人事について、ヴェンゲル監督は「私が決めることではない」と、いっさい口出ししない考えであることを明かしている。

「サッカークラブでもっとも重要なのは、全員がそれぞれに与えられた役割をきっちり行なうことだと思っている。私の仕事は、今シーズンが終わるまで、監督としてチームや結果、移籍における財政面に取り組むことであり、次の監督を選ぶことじゃない」

　では、ヴェンゲル監督自身はこれからどうするのだろうか。他のイングランドのクラブを指揮する可能性について訊かれた指揮官は、「感情として難しいのは確かだ」と答えている。

「これからどうなっていくか分からないから、現時点で絶対にないとは言えない。だが、プレミアの他のクラブに行くと言うには、いまの私はあまりにアーセナルと深くつながりすぎている。かなり難しい選択になるだろう」

　さらにヴェンゲル監督は、「私が完全にこのクラブを去ることはない。つねにアーセナルの発展を最初に気にかけるからだ」と、愛するクラブへの想いを語った。

「私は人生でもっとも良い時期をこのクラブに捧げた。46歳でここに来て、週７日のペースで22年間も働いたんだ。『本当にありがとう、バイバイ』とだけ言ってあっさり出ていくなんてできない。なにもなかったかのように去るのは不可能だ。とても難しいことだと分かっている」