移籍後初ゴールで仙台を撃破!田口泰士がジュビロの「王様」になった日

カテゴリ:Jリーグ

小林健志

2018年04月22日

前半から激しい対人守備でチームに貢献し、後半は攻撃で輝いた。

9節の仙台戦で移籍後初ゴールを決めた田口は、守備でもタイトなチェックで貢献した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 [J1リーグ9節]仙台0-3磐田/4月21日/ユアスタ

 「王様、王様!ジュビロの王様だよ」
 ミックスゾーンで記者に囲まれた磐田の田口泰士の後ろを通った川又堅碁が満面の笑みでこう語りかけ、田口は照れくさそうに笑った。
 
 前節まで2位と好調だった仙台に3-0と完勝した磐田。田口はその原動力となった。前半から激しい対人守備でチームに貢献し、後半は攻撃で輝いた。
 
 磐田は50分、ギレルメのクロスから田口がダイビングヘッドを放つ。これは仙台GK関憲太郎のファインセーブで止められたが、「あのシーンからチーム全体が前掛かりになって3バックも後ろに余ることなく、ウイングバックも早い段階でボールにチャレンジできる距離を意識していて、非常にチーム全体が前重心になりました」と名波浩監督が振り返った通り、攻撃が上手く回り始めるきっかけとなった。
 
 そして56分、左サイドに流れたMF中村俊輔のクロスを右足でうまくトラップしてシュート。仙台DFに防がれるもこぼれ球を松浦拓弥が押し込み先制に成功した。「スペースを見つけたので俊さん(中村俊輔)なら出してくれるだろうと思っていたら、目も合って美味しいボールが来ました。決めることはできませんでしたが、こぼれ球を松ちゃん(松浦拓弥)がしっかり決めてくれました」と田口は振り返った。
 
 直後の58分、田口が右サイドを駆け上がった小川大貴にパス。小川はドリブルでゴール正面へと駆け上がり、ゴール右上隅に見事なミドルシュートを決め、リードを2点に広げた。
 
 そしてダメ押しは82分中村のニアサイドへのフリーキックに対し、田口はファーサイドから斜めに走り込んで打点の高いヘディングシュートを決めた。「良いボールが来るのは間違いありませんので来そうなところを予測していました。後半最初のチャンスを外していたので、ボールに合わせていこうと思ったらうまいこと決めることができて良かったです」と中村のキック精度にも感謝していた。
 
 前半、磐田対策でトップ下を置いて3-4-1-2の布陣に変えてきた仙台に押し込まれる展開が続いたことで、名波監督はハーフタイムに「仙台の前線の石原、西村、(梁)勇基の3枚への斜めの7から8メートルのくさびのパスが何回か入っていましたので、そこを消しきれば横パス、もしくは1回こねますので、そこからグッとスピードを上げようという指示を出しました」と中盤の守備を修正。

 中央へのくさびのパスを出させず、前で奪いきって素早く攻める。この狙いが当たり、田口は前線へと上がっていけるようになった。そして「(ゴール前に)侵入していく動きをもっと増やしたいと思っていました」という田口のゴール前への飛び出しに仙台は対応しきれなかった。
 
 小川大とともに田口の今季初ゴールが生まれたことについて、名波監督は「チームとしてもポジティブに捉えています。積極的にゴールに向かっていってくれました」と労をねぎらった。この日の活躍はまさに川又の言うとおり磐田の「王様」。今後の活躍も大いに期待できそうだ。 
 
取材・文●小林健志(フリーライター)

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