出遅れを取り戻すパフォーマンスで、攻守両面で機能。
今年1月のU-22アジア選手権、3月の東京キャンプに続き、今回の大阪キャンプは、2016年のリオ五輪出場を目指す手倉森ジャパンにとって3回目の活動となる。このチームの中心世代となる93年組のひとり、大島僚太は、U-22アジア選手権に招集されながら、負傷のために辞退を余儀なくされた。
東京キャンプは週末のリーグ戦出場を予定していたため限定的な参加だった。代表でのスケジュールをフルに消化できたのは、この大阪キャンプが初めてだ。
大島はU-19時代には中盤の主軸だったものの、カテゴリーをひとつ上げた現在のU-21代表ではやや出遅れた感が否めなかった。だが、所属クラブの川崎でコンスタントな活躍を見せているように、能力の高さに疑いはなく、大阪キャンプでも抜群の存在感を放っていた。
キャンプ最終日に行なわれた大学選抜とのトレーニングマッチでは、1本目に定位置のボランチで出場した。
この試合では、「効率的に、効果的な攻撃」がテーマのひとつに掲げられ、シンプルに相手の裏を狙う形を作ることに重点が置かれていた。
ともすれば、ロングボールが増え、中盤の選手にとっては走る距離が長くなる展開となる。できるだけ多くボールに触りながらリズムを生み出すタイプの大島からすれば、その特長を発揮しづらいプランだったとも言える。
それでも、大島はチーム戦術に沿った組み立てを意識し、「(選手同士の)イメージが合う部分はあった」と手応えをも口にした。自陣で奪ったボールをすかさず前線に供給してチャンスを創出するなど、局面を一発で変えるロングパスの精度と視野の広さを見せつけた。
一方で、自分のカラーをしっかり表現するのも忘れなかった。中盤で相手のプレスがタイトな場面でも、慌てることなく確実にキープして、テンポ良くボールを動かしていく。なにげないバックパスでも、それによって相手を自分に引きつけて、チームメイトにとって有効なスペースを生み出す。
ボランチの相棒がボールスキルの高い秋野央樹だったこともあり、岩波拓也のゴールで1-0の勝利を収めた1本目のU-21は、質の高いポゼッションでも大学選抜を上回っていた。その中心にいたのが大島だった。
ディフェンス面での貢献も特筆すべきものだった。狙いすましたプレスバックで相手の攻撃を潰す、もしくは遅らせる。ルーズボールへの反応も鋭かった。闇雲に自陣に戻るわけでなく、勝負どころを見極め、極力無駄を省いたディフェンスは、それこそ、〝効率的に、効果的な守備″だった。
今回のキャンプでも守備戦術に関しては綿密な指導が行なわれたが、大島は「ある程度は吸収できた」と言う。さらに「監督に言われたことをしっかりと表現するのは当たり前だとして、相手ボールになった時にどう対処するか、いつ取りに行くのかとか、もっと自分たちでも判断してやらなければいけない」と自主性を強調した。
実戦でアピールできたのはわずか45分間だけ。だが、これまでの遅れを取り戻すには十分なパフォーマンスだったのは間違いない。
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
東京キャンプは週末のリーグ戦出場を予定していたため限定的な参加だった。代表でのスケジュールをフルに消化できたのは、この大阪キャンプが初めてだ。
大島はU-19時代には中盤の主軸だったものの、カテゴリーをひとつ上げた現在のU-21代表ではやや出遅れた感が否めなかった。だが、所属クラブの川崎でコンスタントな活躍を見せているように、能力の高さに疑いはなく、大阪キャンプでも抜群の存在感を放っていた。
キャンプ最終日に行なわれた大学選抜とのトレーニングマッチでは、1本目に定位置のボランチで出場した。
この試合では、「効率的に、効果的な攻撃」がテーマのひとつに掲げられ、シンプルに相手の裏を狙う形を作ることに重点が置かれていた。
ともすれば、ロングボールが増え、中盤の選手にとっては走る距離が長くなる展開となる。できるだけ多くボールに触りながらリズムを生み出すタイプの大島からすれば、その特長を発揮しづらいプランだったとも言える。
それでも、大島はチーム戦術に沿った組み立てを意識し、「(選手同士の)イメージが合う部分はあった」と手応えをも口にした。自陣で奪ったボールをすかさず前線に供給してチャンスを創出するなど、局面を一発で変えるロングパスの精度と視野の広さを見せつけた。
一方で、自分のカラーをしっかり表現するのも忘れなかった。中盤で相手のプレスがタイトな場面でも、慌てることなく確実にキープして、テンポ良くボールを動かしていく。なにげないバックパスでも、それによって相手を自分に引きつけて、チームメイトにとって有効なスペースを生み出す。
ボランチの相棒がボールスキルの高い秋野央樹だったこともあり、岩波拓也のゴールで1-0の勝利を収めた1本目のU-21は、質の高いポゼッションでも大学選抜を上回っていた。その中心にいたのが大島だった。
ディフェンス面での貢献も特筆すべきものだった。狙いすましたプレスバックで相手の攻撃を潰す、もしくは遅らせる。ルーズボールへの反応も鋭かった。闇雲に自陣に戻るわけでなく、勝負どころを見極め、極力無駄を省いたディフェンスは、それこそ、〝効率的に、効果的な守備″だった。
今回のキャンプでも守備戦術に関しては綿密な指導が行なわれたが、大島は「ある程度は吸収できた」と言う。さらに「監督に言われたことをしっかりと表現するのは当たり前だとして、相手ボールになった時にどう対処するか、いつ取りに行くのかとか、もっと自分たちでも判断してやらなければいけない」と自主性を強調した。
実戦でアピールできたのはわずか45分間だけ。だが、これまでの遅れを取り戻すには十分なパフォーマンスだったのは間違いない。
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)