[J１リーグ５節]C大阪２-１湘南／３月31日／キンチョウスタジアム
 
　前節のFC東京戦（０－１）に続き、またも湘南ベルマーレは勝点を取りこぼした。リーグ戦では開幕の長崎戦（２－１）に勝利し、続く川崎戦（１－１）、名古屋戦（０－０）に引き分けたものの、直近の２節はどちらも１点差で敗れている。
 
　５節のC大阪戦は、地力の差が出た格好だ。先制されながらも36分に岡本拓也のゴールで一時同点としたが、多くの時間帯で主導権を握られ、86分に途中出場の杉本健勇に決勝ゴールを奪われた。
 
　曺貴裁監督もC大阪の強さに感服している。
「個人の力量、イージーミスをしないことであったり、判断を間違えない、フィニッシュに行くときのバリエーションは非常に優れたものがありました。セカンドボールを奪う力とか、そこから前に出てゴールする力が高いので、それをフタしないといけないと思っていました」という。

　そんな指揮官曰く「できたところとできなかったところがある」。
 
　実際、少ないチャンスをモノにして同点で試合を運んでいた点は評価できる。後半にはテンポの良いパスワークからゴールに迫る場面も見られた。10番を背負い、ボランチで先発出場した秋野央樹は「悪くもなかったけど、良くもなかった」とチームの試合運びについて手応えを語る。ただ同時に「僕自身何か仕事ができたかと言われるとそんな感じはしなかった。もっと怖い選手になれるようにしないと」と、個人のパフォーマンスについては不満を漏らした。
 

　組織力では決して劣っていなかったかもしれないが、個々の力量差がスコアに表れたと言えるだろう。１対１で後手を踏み、セカンドボールもなかなか先に拾うことができなかった。
 
　とりわけ球際の競り合いには課題が残る。失点シーンはまさに、その差が出た。GKのロングフィードを撥ね返せず相手に拾われ、そのままゴール前まで侵入を許した。
 
　秋野にとっても難しさを痛感させられた場面だ。
「球際のところ。そこに関してセレッソはJ１でもトップレベルで、互角に勝負できなかった。特に前線はかなりヘディングが強くて……。１失点目は典型的だと思うんですけど、あそこで競り負けると、ああいう事故で失点してしまう。そういうことをなくして、なおかつフィフティ・フィフティのボールを少しでもこっちが拾えるように意識してやりたかった」
 
　それでも成長著しいタレントが揃う湘南にとって、その差を埋めることは不可能ではないはずだ。何より曺監督も「こういう試合の体験が残りの試合に必ずつながると思う」と期待を寄せる。
 
　クラブとして掲げる目標は、「J１定着」。この敗戦を「昇降格」を繰り返すチームから脱却する糧にできるか。湘南の今後の戦いに注目だ。
 
取材・文●多田哲平（サッカーダイジェストWEB編集部）