名古屋U-18で巻き起こる"風間イズム"の浸透と改革

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

2018年03月31日

トップチームの戦い方を踏襲したことに加え、大きかったのは...

新高3の兵藤はトップチーム未経験。だが、「次は自分が」という想いを抱いている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 菅原由勢、萩野滉大、藤井陽也、成瀬竣平。今季、名古屋U-18では4名の新高校3年生がトップデビューを果たした。
 
 昨季も今季から興国高から加わった大垣勇樹が特別指定選手でベンチ入りを経験したが、リーグ戦のピッチに立つ機会は訪れていない。それだけに開幕から4戦連続先発中の菅原を筆頭に多くの選手が引き上げられている事実は、昨季から大きく様変わりしたと言える。
 
 では、なぜ今季は高校生Jリーガーが激増したのか。その理由はトップチームとU-18の連携をより一層強化したからに他ならない。
 
 今季、名古屋はアカデミーの体制を一新した。アカデミーダイレクターに元日本代表の山口素弘氏を迎え、監督には昨季まで早稲田大で指揮を執っていた古賀聡氏が就任。

 そして、名古屋は育成のトップが変わったタイミングで、トップチームとU-18が同じコンセプトで戦う考えを固めたのだ。
 
「トップとの連係も密にできており、上が目指すサッカーをアカデミーでもやっていく。そこの意識は凄く高まっていると思います」と古賀監督が語るように、今季からU-18にもトップチームの風間八宏監督が目指すスタイルを導入。選手たちには、“止める”、“蹴る”に加え、“外す”というキーワードを提示し、イメージの共有を図ったのだ。
 
 実際に新3年生の兵藤健斗は「練習から意識してやっているので、みんなプレミアに向けて、上手くなっている感じがしている」と、確かな手応えがあるという。

 30日に行なわれた全国の強豪チームが集う”U-18船橋招待”の初戦・市立船橋戦。2-5で敗戦したものの、兵藤は”外す”動きから相手の逆を取り、2得点を叩き込んだ。U-18に”風間イズム”が浸透しつつある、何よりの証拠だろう。

 トップチームとU-18で戦い方のベースを共有する——。

 戦術面を統一させたうえで、今季からトップチームのスタッフが頻繁にユースの試合や練習を視察に訪れるようになった点も見逃せない。実際にコーチなどがプロの基準で判断し、トップで通用する選手を見極めているという。

 その結果、今季は4名の選手がJデビューを果たし、新2年生の田邉光平、倍井謙も練習に参加するチャンスを得た。
 
 トップチームとU-18の連係強化は、選手たちの競争意識を向上させるきっかけにもなっている。チームメイトがプロの空気を味わう姿に、多くの選手が“次は自分が”という想いを抱くのは想像に容易い。

「下の世代から貴重な経験ができれば、クラブとしてはプラスだと感じている」というのは古賀監督の言葉。名古屋から高校Jリーガーが誕生したのは、決して偶然ではない。トップチームとU-18の足並みを揃え、選手を引き上げる方法の確立が今の名古屋を下支えしている。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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