186センチのサイズと華麗なステップワーク。しなやかな身のこなしと正確なセービングも魅力で、プレーぶりは日本代表GKの中村航輔（柏）を彷彿させる。間違いなく、今季の高体連のGKでは３本の指に入る実力者だ。
 
　その名は松田亮。選手権制覇３度の名門・東福岡で昨季から出場機会を得ている注目株で、１年次にはU-16日本代表候補にも選出。今冬は高校選抜候補にも名を連ねた実績を持つ。
 
　今回のサニックス杯でも松田は実力の片鱗を見せた。17日の市立船橋戦では０-２で敗れたが、前後半に1本ずつビックセーブを披露。巧みなポジションニングと反応の鋭さが光る好プレーだった。
 
　18日に行なわれた10位決定戦の光州FCユース（韓国）戦では、チームがターンオーバー制を採用。そのため、出場機会はなかったが、今大会を通じて出場した３試合でまずまずのパフォーマンスを見せた。
 
　ただ、本人は今回の結果に納得をしておらず、「個人としては３試合に出て７失点。そのうちの２失点は集中力が切れて、相手の勢いに飲まれた」と自身の出来を猛省。最終ラインに怪我人を抱えていたチーム事情から、コミュニケーション不足を見せ、最終ラインの背後をケアする作業や、状況に応じた判断力では物足りなさを残した。

　チームを指揮する森重潤也監督も修正すべきポイントを指摘。「レベルは高いし、反応の速さもある。ただ、ディフェンスラインの背後に蹴られるボールに対して、躊躇してしまう」と、今後の課題を口にした。

　本人も自身の悪癖を認識済み。「判断とメンタルに甘さがあった。これでは上のレベルでやれない」と改善の必要性を誰よりも感じている。

　今大会ではウイークポイントと向き合い、ルーズボールの処理では誰よりも大きな声で味方に指示。呼吸が合わない場面もあったが、問題点を克服しようとする姿勢が見られた。
 
　ポテンシャルの高さは示しただけに、あとは結果が求められる。昨年のプレミアリーグでは２年生ながら５試合に出場するも、完封で終えた試合は１。インターハイでは２回戦の青森山田戦で判断ミスから敗退を招く失点を喫し、今冬の選手権でも２回戦の富山一戦で後半アディショナルタイムに決勝点を叩き込まれる屈辱を味わった。

　無失点で終えていれば——

　今でもその想いが強くあり、松田が今年掲げる目標は「１点さえ取ってくれれば、あとは俺が守る」。
 
　高難易度の目標ではあるが、実現できれば当然チームが負ける場面など訪れない。勝利のために強い意志でゴールを守る松田が東福岡に歓喜をもたらせるか。「まだまだ課題もあるけど、修正できれば、良いGKになる」とは指揮官の言葉。無失点勝利が増えれば、Jクラブへのアピールにもなる。課題に取り組み、誰よりも高い意識を持ってピッチに立つ。
 
取材・文●松尾祐希（サッカーダイジェストWeb編集部）

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