乾貴士はなぜ「鬼門」のリーガで地位を確立できたのか? 戦術から紐解く活躍の理由

カテゴリ:海外日本人

中村僚

2018年03月10日

マドリー戦を前に乾の進化の過程を振り返る。

エイバルに不可欠な存在となった乾。彼はなぜそこまでのキーマンになり得たのか。 (C) Getty Images

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加入当初の乾の守備は、連動性を欠いたため、速いパス回しに翻弄される。その結果、元々いたはずのスペースで数的不利になることが目に付いた。

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 現地時間3月10日、リーガ・エスパニョーラ第28節で、エイバルが本拠地イプルーアにレアル・マドリーを迎える注目の一戦が行なわれる。
 
 エイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督からいま、全幅の信頼を寄せられているのが、日本代表MFの乾貴士だ。このR・マドリーとのビッグマッチでも左サイドでの先発起用が濃厚で、攻守両面でキーマンになるとみられている。
 
 そんな乾は、日本人にとっては「鬼門」といわれたリーガ・エスパニョーラで、どのようにしてレギュラーの座を勝ち取ったのか? マドリー戦を展望する前に、まずは乾が地位を確立するまでの過程にスポットライトを当てよう。
 
 すでに多くのメディアでも取り上げられているように、乾がレギュラーの座を獲得できたのは、守備が評価された点が大きい。ボールを持った時の攻撃センスの高さはドイツで証明済みで、エイバルはその部分を評価して獲得した。しかし、加入後に大きな障壁となったのが、守備の戦術理解だった。


 
 奪われた瞬間のポジショニングが悪く、プレスをかけるタイミングは周囲とまるで噛み合わず、乾のサイドから守備が破綻する場面が度々見られた。エイバルの戦術は、高い位置から連動してプレスをかけ、ショートカウンターとサイドアタックでゴールを奪うというもの。それを実行するには、乾の守備力の低さが致命的な穴になっていた。
 
 例えば、相手がDFラインでボールを回している時もエイバルはDFラインで数的優位を確保しているため、前線は逆に数的不利になり、選手は1人で相手選手を2、3人追いかけなければならない、というシーンが出てくる。この場合、自陣のマークがきっちりとセットされていることを確認したうえで、パスコースを切りながらボールを追いかけ、3、4本先で追い込んで奪取するという連動性が必要になる。
 
 だが、加入間もない乾はその戦術を理解しておらず、自分のタイミングで突然ボールを追いかけ始め、元いたスペースがぽっかりと空いてしまい、そこから崩されてしまったのだ。
 
 事実、2015年8月に乾が加入してから公式戦に初出場するまで、実に1か月もの期間を要している。これは、リーグ開幕後の移籍でコンディションや環境を整えるための期間だったともいえるが、初出場後も途中交代や途中出場が多く、べべ(今冬にラージョ・バジェカーノへ移籍)らとレギュラーを争っていた。
 
 ところが、2016-17シーズンに風向きが変わる。
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