エイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督が試合前日会見に臨み、日本代表MF乾貴士について、そのインプレッションを語った。
指揮官が就任したのは2015年7月と、乾がドイツのフランクフルトから移籍していたのと同じタイミング。言わば“同期入団”で、リーガ・エスパニョーラにおける乾の成長を間近で見守ってきた恩人だ。
少しばかりの皮肉を込めながら、愛情たっぷりにこう話した。
「タカは毎シーズン良くなっているよ。1年目は厳しい年だったと思うけど、翌年は成長したし、いまは問題ないね。タカは本当にシャイで言葉はそれほど上達していないが、いまはだいたい理解できてると思う。その点に関しては器用だろうしね。時々ひとつの練習に対して4回ぐらい説明が必要な時もあるけど、どこに動くべきか、どういう練習かも理解している。要求に応えようと一生懸命だし、1日練習すれば難なくモノにする。エイバルでの生活を楽しんでいて、日に日に良い選手になっているよ」
メンディリバル監督と乾の熱い絆を象徴する出来事が起こったのは、昨年の4月だ。
2年目のシーズン、日本人アタッカーはシーズン終盤まで無得点が続いていた。エイバルではシュート練習で外すとでんぐり返しをする罰ゲームがあり、乾は何度も何度も回っていたという。そこで指揮官が「次の試合で君が点を取れたら、私がその場ででんぐり返しをしよう」と約束。その2日後の29節ビジャレアル戦で、乾は豪快にシーズン初ゴールを決めて見せる。するとメンディリバル監督はすぐさず狭いスペースで、一回転回ったのだ。
仲間たちも苦しんでいた乾を応援していただけに、チーム全員で喜びを爆発させる感動の場面となった。試合後、乾は嬉しそうに「監督からは“ちゃんとやったからな”と言われました。本当に良い信頼関係を築けているし、チームメイトもみんな喜んでくれたんで、最高です」と語った。
明日はバルセロナとのビッグバウト。恩師メンディリバルの想いに応え、7試合ぶりのゴールを挙げられるか。キックオフは日本時間の土曜日24時15分だ。