現地１月26日、中断期間が終わり、アルゼンチン・リーグが再開した。各地で熾烈な戦いが繰り広げられる中、最も注目を集めていたのは、ボカ・ジュニオルスの本拠地ボンボネーラに舞い戻ったカルロス・テベスだった。
 
　この１月に中国の上海申花からボカへ約１年ぶりに復帰していたテベスは、ニューウェルスを本拠地に迎えた一戦で、キャプテンマークを巻いて先発メンバーに加わった。
 
　65分に相手DFと衝突しながら味方にパスを供給して決勝点をアシストするなど、90分に渡って殊勝なパフォーマンスを披露したテベスには、復帰を待ちわびていたボケンセ（ボカの熱狂的なファン）から万雷の拍手が送られた。
 
　そんな34歳のストライカーは試合後、アルゼンチン・メディア『Tyc Sports』の取材に感極まり、喜びの涙を流しながら、次のように語った。
 
「やる気が漲っているし、俺は今生きていると感じている。ボケンセには本当にいくら感謝してもしつくせない。とても幸せな感覚を抱かせてくれた」
 
　思えばこの数年、テベスは苦労が絶えなかった。中国リーグに挑戦していた2016年12月からは、言葉も文化も違う異国へ単身赴任。しかも、上海申花のサポーターから「ホームシック少年」、「常識のない守銭奴」と揶揄され、さらにクラブスタッフからは「太りすぎだ」と起用を見送られてもいたのだ。
 
　１月９日に行なわれた復帰会見で、「ボンボネーラ（ボカの本拠地）でプレーする前に感じるアドレナリンが恋しかった」と喜びを口にしたテベス。その寵愛するスタジアムでの復帰戦の後は、沸き上がる感情を抑えられなかったようだ。
 
「家族は本当に苦しんできた。今、俺はここに戻ってきた。人々に喜びを与えられるために頑張ろうと決めている。ボケンセの俺に対する歌声を聴くのは、とても素晴らしい。もう一回、家族とともにそれを楽しみたい」
 
　復帰会見では、「ボカを７年ぶりの南米王者に導くため、全力を尽くす」と意気込んでいたテベスは、愛するクラブに最高の栄冠をもたらすことができるだろうか。