指揮官は「チームを作るうえで大事な『継続性』も、それを実践する若手選手も育ってきている」と自信
「昨年のスタートとは違う。今年は主力選手の多くが残ってくれたおかげで、しっかりと戦う土台ができた」
鳥栖で3年目の指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督。昨シーズンの新体制発表会とは明らかに顔つきが違った。それは、過去2年間とは違うシーズンを迎えるからに違いない。
昨シーズンも「2年目なのでスムーズなスタートが切れる」とは言ったものの、ホームでは圧倒的な勝率をあげても、アウェーではまったくと言っていいほど結果を出せなかった。その証拠のひとつに、シーズン途中の補強があげられる。
キャンプインしてからGK権田修一を補強したことや、夏場以降にFWビクトル・イバルボを再登録するなど、チーム作りという点では相当苦労した。FW田川亨介などの若手の台頭はあったが、シーズン開始から計算できるものではなかった。そんな心痛を持っていた昨シーズンに比べれば、今シーズンは確かな手ごたえを持ったスタートと言えるだろう。
昨シーズン7得点をあげたMF原川力を完全移籍で確保しただけでなく、主力として戦った選手たちのほとんどが鳥栖で新シーズンを迎えるのである。
「戦術理解も含めて、何をしないといけないかがわかっている選手が多い」(フィッカデンティ監督)ことで、キャンプインと同時により緻密なサッカーを目指すことができる。加えて、ピンポイントで4人を補強し、さらにパワーを増した感もある。
CBには高さとフィジカルの強さを備えた高橋祐治(前・京都)、両サイドをこなしキック精度の高い安在和樹(前・東京V)はDFでもMFでもプレーできる。トップ下には、日本でのプレーが初めてとなる伊藤遼哉(前・デュッセルドルフU-19)を獲得した。ピンポイントの補強として申し分ない戦力である。この3人に共通して言えることは、ハードワークでき、豊富な運動量があることだ。何よりも、伸びしろが大きいだけに期待が持てる。
そして、新体制発表会の2日後に獲得が発表された高橋秀人(前・神戸)もプラスをもたらすはずだ。守備力の高さは折り紙付きで、FC東京時代にイタリア人指揮官の指導を受けただけに、チームにすぐ馴染むだろう。アンカーでの活躍が大いに期待できる。
フィッカデンティ監督が「チームを作るうえで大事な『継続性』も、それを実践する若手選手も育ってきている」と自信を見せるのもうなずける。そのうえで、「ワールドカップの中断期間もあるので、非常にタイトな日程となるが、それを乗り切るだけの戦力は整った」(同監督)と言い切った。
昨シーズンの戦い方をベースに、成長が期待できる若手と即戦力をピンポイントで補強したのだから、結果を出さなければサポーターのきつい視線を受けても仕方はあるまい。
課題は明確である。いかにしてアウェーで勝点をあげていくのかの一点に尽きる。鳥栖のやり方は大きくは変わらないだろう。昨シーズンをベースに戦うことで、相手チームに分析される可能性もあるが、それを乗り越えなければ明るい展望は開けない。フィッカデンティ監督の真価が問われるシーズンが始まる。
取材・文●サカクラゲン(サッカージャーナリスト)
鳥栖で3年目の指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督。昨シーズンの新体制発表会とは明らかに顔つきが違った。それは、過去2年間とは違うシーズンを迎えるからに違いない。
昨シーズンも「2年目なのでスムーズなスタートが切れる」とは言ったものの、ホームでは圧倒的な勝率をあげても、アウェーではまったくと言っていいほど結果を出せなかった。その証拠のひとつに、シーズン途中の補強があげられる。
キャンプインしてからGK権田修一を補強したことや、夏場以降にFWビクトル・イバルボを再登録するなど、チーム作りという点では相当苦労した。FW田川亨介などの若手の台頭はあったが、シーズン開始から計算できるものではなかった。そんな心痛を持っていた昨シーズンに比べれば、今シーズンは確かな手ごたえを持ったスタートと言えるだろう。
昨シーズン7得点をあげたMF原川力を完全移籍で確保しただけでなく、主力として戦った選手たちのほとんどが鳥栖で新シーズンを迎えるのである。
「戦術理解も含めて、何をしないといけないかがわかっている選手が多い」(フィッカデンティ監督)ことで、キャンプインと同時により緻密なサッカーを目指すことができる。加えて、ピンポイントで4人を補強し、さらにパワーを増した感もある。
CBには高さとフィジカルの強さを備えた高橋祐治(前・京都)、両サイドをこなしキック精度の高い安在和樹(前・東京V)はDFでもMFでもプレーできる。トップ下には、日本でのプレーが初めてとなる伊藤遼哉(前・デュッセルドルフU-19)を獲得した。ピンポイントの補強として申し分ない戦力である。この3人に共通して言えることは、ハードワークでき、豊富な運動量があることだ。何よりも、伸びしろが大きいだけに期待が持てる。
そして、新体制発表会の2日後に獲得が発表された高橋秀人(前・神戸)もプラスをもたらすはずだ。守備力の高さは折り紙付きで、FC東京時代にイタリア人指揮官の指導を受けただけに、チームにすぐ馴染むだろう。アンカーでの活躍が大いに期待できる。
フィッカデンティ監督が「チームを作るうえで大事な『継続性』も、それを実践する若手選手も育ってきている」と自信を見せるのもうなずける。そのうえで、「ワールドカップの中断期間もあるので、非常にタイトな日程となるが、それを乗り切るだけの戦力は整った」(同監督)と言い切った。
昨シーズンの戦い方をベースに、成長が期待できる若手と即戦力をピンポイントで補強したのだから、結果を出さなければサポーターのきつい視線を受けても仕方はあるまい。
課題は明確である。いかにしてアウェーで勝点をあげていくのかの一点に尽きる。鳥栖のやり方は大きくは変わらないだろう。昨シーズンをベースに戦うことで、相手チームに分析される可能性もあるが、それを乗り越えなければ明るい展望は開けない。フィッカデンティ監督の真価が問われるシーズンが始まる。
取材・文●サカクラゲン(サッカージャーナリスト)