ロナウドはなぜ「フェノーメノ」だったのか? 現代でも通用するか?

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ロベルト・ロッシ

2017年12月30日

全盛期は史上最高レベルだったと言い切れる。

クルゼイロ、PSVを経て加入したバルサでは、97-98シーズンに49試合・47得点という規格外の数字を残す。わずか1年の所属だったが、間違いなく伝説となった。(C)REUTERS/AFLO

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 ロナウドことロナウド・ルイス・ナザリオ・デ・リマは、ピッチ上で見せたピーク時のパフォーマンスだけを見れば、クリスチアーノ・ロナウドを超え、リオネル・メッシやディエゴ・マラドーナの全盛期と肩を並べるフットボール史上最高レベル(選手としてのタイプは異なるが)だったと言い切れる。
 
 残念ながら、そのピークはあまりにも短かった。ヨーロッパのトップレベルでそれを発揮したのは、バルセロナでプレーした1996―97シーズン(公式戦通算で49試合・47得点)、インテルに移籍して1年目の97―98シーズン(同47試合・34得点)というたった2年間だけ。そのピークは、1998年フランス・ワールドカップ決勝前夜、巨大なプレッシャーがもたらすストレスに押し潰されて心身に変調をきたした瞬間、唐突に終わりを告げた。
 
 ワールドカップ後、二度の膝蓋腱断裂によってほぼ2年半を棒に振ってからのロナウドは、偉大なプレーヤーであったことに変わりはないが、もはやかつての彼ではなかった。
 
 しかし、その短いピーク時のパフォーマンスは、それ以前にもそれ以後にも誰ひとりとして見せたことがないレベルの、文字通り超絶的なものだった。一旦ボールを持って前を向き一歩踏み出したら最後、もはや彼を止めることは誰にもできなかった――。そう言っても決して大袈裟ではない。
 
 身長183cm、体重80kg強というバランスの取れた体格に、爆発的なパワーと際立ったアジリティー、そして柔らかく流れるような身のこなしを備えたロナウドのフィジカル能力は、フットボーラーとして史上最強レベルにあった。スタートを切ってからトップスピードに達するまでの早さ、そのトップスピードの高さとそれを維持できる距離の長さは、全盛期のC・ロナウドをもさらに上回る。
 
 ロナウドが驚異的だったのは、その絶対的なスピードの高さに加えて、その体格に似合わぬアジリティー、そしてブラジル人特有のトリッキーなボールスキルまでも合わせ持っていたことだ。シザース・フェイント、足裏を使った細かいボールコントロール、股抜きといった、その後にロナウジーニョやネイマールが見せるようなブラジル人特有のスキルを、ヨーロッパのトップレベルで、しかも効果的な形で使ったのは、ロナウドが事実上初めてだったのだ。
 
 しかもロナウドはそうしたスキルを、止まった状態からだけでなく、スピードに乗ったドリブルでゴールに向かって突進する中で自在に使いこなし、目の前の敵を次々と抜き去ることができた。バルセロナやインテルに在籍当時のプレー動画を改めて見直しても、そのパフォーマンスは異次元だ。「フェノーメノ」(怪物/超常現象)というニックネームほど、当時のロナウドがもたらした衝撃を的確に表わす言葉はない。
 
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