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【現地発】前任者の過ちと遺産を糧に…堅実なシュテーガーの下でドルトムントが歩む再起への道

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年12月14日

ドルトムントは「アヤックス」ではない…

試合のなかで徐々にプレーが良くなっていったマインツ戦。久々の勝利に選手もファンも喜びを爆発させたが、チームが正しい方向に進み出したのかどうかを判断できるのはこれからだ。 (C) REUTERS/AFLO

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 ペテル・ボシュの挑戦は163日で終わった。
 
 ドルトムント代表取締役ハンス=ヨアヒム・ヴァツケとチームマネジャーのミヒャエル・ツォルクは第15節ブレーメン戦を1-2で落とした後に緊急会議を行ない、今シーズンよりチームを率いてきたボシュ監督の解任を決断。翌日曜日には、後任として前ケルン監督のペーター・シュテーガーの就任を発表した。


 ボシュの下、昨シーズンまでのアヤックスが披露していたサッカーのインパクトは、とても強烈なものだった。相手チームがまるでボールを落ち着かせることができないほど、追い込み、追い込み、追い込んでいった。
 
 ヴァツケとツォルクは、そこに大きな可能性を見出したのだろう。だが、恐れ知らずに貪欲に相手を追いかけ回すサッカーは、ドルトムントの選手を熱狂させることはできなかった。
 
 新しい戦術に取り組む時、選手サイドに疑いがあるとうまくはいかない。「なるほど、そのサッカーは面白い。是非やりたい!」という気持ちがないと、走り出せない。
 
 それでも、監督に「やれ!」と言われれば、やるだろう。選手はプロだから、力を抜いたりはしない。だが、全力でのプレーと100パーセントのパフォーマンスは、同義ではない。頭の片隅でちょっとでも「このやり方じゃダメだ」と思ってしまったら、どんな戦術だろうが、どんな話だろうが、選手の頭や意識を素通りしていってしまう。
 
 ひとつの例として、ユリアン・ヴァイグルとボシュの、見解の不一致を取り上げてみよう。ボシュはボランチの選手に、ゲームメイクを求めなかった。ゲームを作るのはCBで、攻撃陣に素早くパスを当てる。そこから落とされたボールの展開、そして相手に奪われた時のカバーが、ボランチの役割となった。
 
 だが、ヴァイグルはほとんどの試合でチーム最多のボールコンタクトを記録し、パス成功率は常に90パーセント以上を誇る「パスマシーン」だ。「パスを受けることなく、ゲームを作れ」と言われては、すぐに受け入れることができないのも理解できる。
 
 新しいやり方が選手の新たな能力を開花させ、新しい戦術がさらなる武器として感じられるものだったら問題はなかった。そうなる可能性があったことも事実だ。だが、それは今までのやり方を捨ててまで手にしなければならないものだったのか? という疑問もある。
 
 ハードなプレッシングサッカーは、ユルゲン・クロップ政権時のお家芸だったが、試合を通してやるものではなかった。素早い縦への攻撃はトーマス・トゥヘル時代の武器でもあったが、それだけでは相手にはね返されてしまう。ドルトムントはドルトムントで、アヤックスではなかった……。
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