現地時間12月12日（日本時間13日４時30分開始）、ブンデスリーガ第16節でドルトムントはマインツと対戦する。
 
 
　前節でブレーメンに１-２で敗れてペテル・ボシュ監督を解任したドルトムントにとって、このアウェーマッチはペーター・シュテーガー新監督にとっての初陣となる。
 
　今シーズン、リーグ14試合未勝利という成績を残して今月３日にケルンの監督を解任された後、わずか１週間でドルトムントを率いることになったこのオーストリア人指揮官の手腕には、少なからず疑いの目も向けられている。
 
　にもかかわらず、リーグでは８試合、公式戦では９試合と、ケルンに負けず劣らず不振の最中にあるドルトムントが、この51歳の監督を招聘したのには、就任会見に同席したミヒャエル・ツォルクSDが語ったように「チームをひとつにまとめてくれる」という期待からだ。
 
　ドルトムントの地元紙『WAZ』は、現在のドルトムントについて、昨シーズンまでの監督だったトーマス・トゥヘルによってチームに亀裂が入り、それを前任のボシュは修復することができなかったと記している。
 
　そして同紙は、そんな不安定なドルトムントを立て直す能力がシュテーガーにはあると、彼と選手時代からの盟友であり、ケルンのレジェンドでもあるオーストリア人のトニー・ポルスターの言葉を借りながら主張している。
 
「ペーターはグループを導く能力に長けており、誰もが無条件で従う。システムや規律を選手たちに植え付け、彼らを説得するのが上手い。だから彼は、いつも成功を収めてきた。ケルンとドルトムントでは、するべき仕事は異なるかもしれないが、彼はそれをやり遂げられるだろう」
 
『WAZ』紙はシュテーガーを「優れたモチベーター」と評価し、ケルンでは粘り強い対話で選手から信頼を得ていたこと、アントニー・モデスト（現・天津権健）にように退団した選手のことも気にかけ、コンタクトを取り合って好関係を保っていることなどを紹介した。
 
　また、昨シーズン、ケルンにレンタル移籍したDFネベン・スボティッチがシュテーガーの良さを熟知しており、ドルトムントの選手にそれを広めているであろうということも綴っている。
 
　今のサッカー界では珍しく、遠征中でも選手に自由を与え、自身のプライベートも隠さず、チームやファンだけでなく、ケルンという町そのものとも良い関係を持ち続けたシュテーガーは、ドルトムントでも、これまで同様のアプローチを行なうと語った。
 
「まずは選手たちと話をして、チームの問題がどこにあるかを見つけ出したい」
 
　今シーズンのドルトムントといえば、とにかく守備に大きな問題を抱えており、守備の堅いチームを形成に定評のあるシュテーガーの招聘は合っているようにも見えるが、一方でドルトムントはクラブとして攻撃サッカーを信奉しているだけに、ここを不安視する声も少なくない。
 
　しかし『WAZ』紙は、彼が2013年にケルンの監督に就任してから、チームが高い攻撃力を誇って急上昇を遂げていった過去を例に出し、この指揮官が堅守だけをウリにしているのではないと訴えている。なおケルン指揮時代の対ドルトムントの対戦成績は、２勝４分け１敗である。
 
　ここで日本人のファンにとって気になるのは、香川真司の起用法だが、まだどのようなシステムを採用するか定まっておらず、選手も見極め段階。なお、『キッカー』誌のマインツ戦の予想では、スタメンに香川の名前はない。ちなみにマインツの予想メンバーには、背中の痛みで長く戦列を離れていた武藤嘉紀が含まれている。
 
　監督就任を発表した後、最初の練習に臨んだものの、あいにくの雪に見舞われて室内練習を余儀なくされたシュテーガーとドルトムント。まともな練習は翌月曜日の１日だけという状態で、新生チームは再起に向けて再スタートを切る。