元日本代表・加地亮はなぜ引退を決断したのか? 伝説となった自己管理で理想を求めた20年

カテゴリ:Jリーグ

高村美砂

2017年11月27日

「サッカー選手は試合を戦うことだけが仕事ではない」

引退会見に臨んだ加地は、引退を決断した理由と共に関係者への感謝の気持ちを述べた。写真:高村美砂

画像を見る

 ファジアーノ岡山DF、加地亮の引退記者会見。質疑応答の時間は45分間にも及んだ。その間、ひっきりなしに質問が投げかけられ、それに対して加地が真摯に、ひとつずつ自分の言葉で想いを伝えていく。その時間は『20年』という長いキャリアを物語るものだった。
 
 記者会見場にスーツで現われた加地は、すっきりとした表情で席に着いた。最初に彼の口から最後のキャリアを過ごしたファジアーノ岡山に対して、また長年のキャリアにおいて関わりのあった人たちへの感謝の気持ちが述べられる。その上で、引退を決断した理由を言葉に変えた。
 
「素直に、自分の思っているプレーができなくなってきたのも事実ですし、来年もう1年、責任と覚悟をもって頑張れるかということを自身に問いかけた時に、やれるという自信を持てなかったことで引き時かなと感じました。きっかけは夏場に怪我をして2か月くらい休んでいたんですが、そこから復帰した4~5試合でなかなか自分の思うプレーと身体の感覚が合っていかなかったこと。以降もその感覚が戻らない状態がずっと続いていたのですが、そういうことも自分の中では大きかったと思います」
 
 加地の言う『4~5試合』とは怪我からの復帰戦、途中出場でピッチに立った33節のヴォルティス徳島戦からフル出場を果たした37節・水戸ホーリーホック戦を指す。しかもチームの結果も伴わず、プレーオフ出場圏である6位以内を目指しながらも今季初の4連敗を喫した岡山は13位に後退してしまう。悔しさは大きく膨れ上がり、それは自分自身を見つめることにもつながった。
 
 それでも『引退』の決断は最後まで悩んだ。良き理解者である夫人にも繰り返し相談し、「引退するよ」と伝えてからも気持ちは行き来したと言う。それでもやはり、自分の気持ちに嘘はつけなかった。
 
「1~2か月ならやれますが、1年という単位で考えなければいけないし、サッカー選手は試合を戦うことだけが仕事ではないので。試合以外のところですごく労力が必要ですし、いろんなことに気も遣います。つまり生活を含めたすべてでサッカーのために過ごさなければいけないので、それを1年間できるのかと考えたら難しいな、と。それにこれまでのサッカー人生で常に『自分はもっとできる』という気持ちで自分を信じてやってきたのに、その自分を信じきれなくなったというか……。もう1年、『自分が思い描くプレー』のために、生活を含めたすべてをサッカーに注ぎ込んで戦えると信じられなかったことが、最後の決断につながりました」
 
【関連記事】
【石川直宏の決意】シーズン真っ只中の引退発表。そこには意図的な、ある重大な理由があった
FC今治でのラストシーズンに懸けた想いの丈を激白! 元日本代表の山田卓也が引退を表明…
代表引退表明のデ・ロッシ。試合中にアップを命じられ「ふざけんな!」と怒鳴り散らした理由を語る
甲府一筋17年。地元出身の石原克哉が今季限りでの引退を決断!
【清水】MF杉山浩太が現役引退…「今あらためて思うことは」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ