【名古屋】J1復帰の鍵を握る男――風間八宏監督も「判断を委ねている」田口泰士の真価

カテゴリ:Jリーグ

今井雄一朗

2017年11月27日

風間八宏監督も田口の活躍と成長には目を細める。

千葉との準決勝で貴重な同点弾。田口が大きな仕事をやってのけた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 [J1昇格プレーオフ準決勝]名古屋4-2千葉/11月26日/パロ瑞穂

 4-2という実に名古屋らしいスコアが記録されたJ1昇格プレーオフ準決勝のMVPは、ハットトリックを達成したシモビッチで決まりろう。だが、試合を大きく動かしたのが田口泰士であることにも異論の余地はない。
 
 同点ゴールにまつわる疑惑のプレーについては審判の判定と考えるほかなく、今さら掘り返すのも後味が悪いのでやめておく。ひとつだけ言えるのは、もちろん田口が狙って手を出したのではなく、あくまで偶然の産物だったということ。それをレフェリーは反則ではないと判断したのだ。
 
 それよりも称賛すべきは、田口の執念に満ちたフィニッシュワークではないか。シモビッチからのパスがDFに弾かれ、確かにそのボールは千葉にとっては不運な形で田口の前にこぼれた。
 
 しかし名古屋の背番号7は立ちふさがり、追いすがるDFの動きを冷静に見つめ、「右足で打とうと思ったけど、状況はしっかり見えていた」と瞬時に判断。ボールをプッシュし目の前のマーカーを動かすと、強く降り抜くと膝が抜けてしまうほど痛んでいる左足を使ってGKの逆を突くシュートを流し込んでみせた。「最後はコースも見えていた」とはまるでストライカーの言葉だが、これこそが今季、田口が身につけてきた新たな武器のひとつである。
 
 今季のリーグ戦では、ホーム愛媛戦でのハットトリックを含む9得点をマーク。これでシーズン10得点目を挙げた活躍は、ボランチとして記録したことでその価値を上げる。小林裕紀との抜群の補完関係を維持しつつ、得意の縦パスを巧みに入れては自らゴール前に侵出していくパターンはチームの攻撃に欠かせぬ要素のひとつであり、彼もまたその回数をどれだけ増やせるかを1年のテーマとしてきたところがあった。
 
 得点の場面に限らず、この日も田口は幾度となくゴールを付け狙い、放ったシュートはシモビッチの4本に次ぐ3本。最近は得意にしてきたセットプレーでも惜しいシュートを見せるなど、その才能を解き放った感はすさまじい。
 
 風間八宏監督も彼の活躍と成長には目を細めるひとりで、試合後には「泰士と裕紀にはかなりの判断を委ねている」と厚い信頼感を口にした。プレシーズンキャンプでは負傷以外でもやや遅れ気味だった昨季のキャプテンは、地道な努力とそのキャパシティの両面をもって新生・名古屋のトップグループに追いつき、今ではその先頭を走るひとりとなった。
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