南米きってのサッカーどころ、アルゼンチンから悲しいニュースが届けられた。
 
　現地時間11月22日、同国の名門ボカ・ジュニオルスのサポーターグループのリーダーが殺害されたと、同国の有力紙『Ole』が報じている。
 
　殺されたのは、熱狂的サポーター集団「La12（ラ・ドセ）」のNo２を務めていた49歳のグスタボ・ペレイラ氏だ。その巨漢から「ザ・ベアー」という愛称で周囲から信頼を得ていた同氏は、ブエノスアイレスにある自宅で母親と過ごしていたところを何者かに襲撃され、銃弾８発を受けて死亡したという。
 
　地元警察は、襲撃犯を追っているものの、現段階で詳細を掴めておらず、今後も慎重な捜査を続けていく予定だとしている。
 
　しかし、アルゼンチン紙『Nacion』は、長くサポーター集団を取りまとめていたペレイラ氏が、スタジアムで暴力沙汰を度々起こしては収監され、現在もボカから無期限の出禁処分を受けていた事実を報告し、「相手サポーターが仕返しをした可能性もある」と綴った。
 
　アルゼンチンでは、熱狂的かつ暴力的なサポーター集団を「バーラ・ブラバ」と総称する。彼らは熱狂的な声援でスタジアムの雰囲気を盛り立てる一方で、警官隊や敵サポーターと衝突し、死傷事件を起こすことも少なくない。一部には、マフィアと繋がっているグループもあるという。
 
　アルゼンチンでは彼らが起こす暴動を回避すべく、１部リーグでは、2013年の７月以来、アウェーサポーターの入場を原則として禁じている。しかし、いまだに悲惨な事件は後を絶たない。
 
　ボカのように世界規模のクラブともなれば、バーラ・ブラバの組織力も強大で、そのNo２のペレイラ氏が命を奪われたのは、『Nacion』紙が指摘した通り、敵グループの恨みを買っていたからなのかもしれない。
 
　クラブを行き過ぎるほどに愛する彼らが演出するスタジアムの雰囲気は、言うまでもなく世界でも指折りのレベルにあるだけに、ペレイラ氏のような被害者が出てしまうのは残念でならない……。