【Jユースカップ】“川崎のロベカル”から“岡山のロベカル”へ…デューク・カルロスの進化は止まらない

2017年11月13日 川端暁彦

圧倒的な走力で左サイドを疾駆し、左足の大砲で輝きを放つ。

シュータリングで先制弾を奪ったデューク・カルロス。それ以外にもポテンシャルの高さを随所に見せた。写真:平山俊一

 デューク・カルロスのアイドルは、ロナウジーニョだったそうだ。圧倒的なテクニックと無限のアイデアでサッカーの喜びを全身で表現した、サッカー史に残る「魔法使い」。その妙味に憧れてボールを蹴って、技を磨いてきた。とはいえ、想い通りになるわけでもないのがサッカーである。高校3年生になって迎えた11月12日のJユースカップ準決勝。川崎フロンターレU-18の左サイドバックとして、躍動する彼を初めて観た複数の関係者が口をそろえてこう言った。
 
「ロベルト・カルロスみたいですね!」
 
 圧倒的な走力で左サイドを疾駆し、大砲を埋め込んだ左足から弾丸のようなシュートやクロスをぶっ放す。撃たれた弾丸の軌道は本人にも予測不能なほどで、まさしくGK泣かせ。ゴールネットが揺れたあと、GKが「ウソでしょ」という顔を浮かべるのも定番だった。そんなレジェンド級サイドバックのプレースタイルと、デューク・カルロスのそれは重なって見えたのだ。単に「カルロス」という名前が同じという話では、もちろんない。
 
 この日のJユースカップ準決勝・ガンバ大阪ユース戦でデュークが突き刺したゴールからも、同じ匂いが漂った。「ひとに合わせるというより、相手が嫌がるところに蹴り込む」というイメージで送り込まれた高速クロスが曲がり落ちてファーサイドネットを揺らす。当たり損ねで「入っちゃった」と振り返られるような、いわゆる"シュータリング(シュート+センタリングの造語)"とは趣を異にする弾道である。その直前のプレーでオフサイドで無効になったものの、GKのニアハイのバー下を叩いてネットを揺らす強烈無比な幻のゴールを突き刺していたことも、そうした印象を加速させた。
 
 G大阪戦は守備でも存在感があった。抜群のスピードと格段に向上した身のこなしの良さを利して、相手の右サイド攻撃を何度もストップ。能力の高さ、ポテンシャルの大きさをあらためて印象づけた。

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