【番記者通信】すべてがその手中に――残り5連勝で覇権奪還|リバプール

カテゴリ:メガクラブ

ジェームズ・ピアース

2014年04月11日

12勝2分けで首位に立ち、9連勝でシティを迎え撃つ。

いまのリバプールは、過去25年間を振り返っても最も攻撃的で魅力的だと、ピアース記者は語る。 (C) Getty Images

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 すべては、自分たちの手の中にある。残り5試合に全勝すれば、24年ぶりの覇権奪回が現実のものとなる。開幕前は夢でしかないと誰もが思った悲願が、ついに成就するのだ。いま、リバプールを取り巻いているのは、期待と興奮だ。

 ただ、決して簡単な5試合ではない。優勝を争うマンチェスター・シティとチェルシーとの直接対決が残っているのだ。最初の難関、シティとの大一番が4月13日に迫る。チケット販売サイトでは、最低1000ポンド(約17万5000円)の値がついている。アンフィールドの雰囲気は、確実に張りつめたものになるはずだ。

 クリスマス後の対戦では、シティとチェルシーに敗れている。ともに1-2のスコアで連敗した。その時点で5位に転落したが、それから4か月間負けていない。12勝2分けの快進撃で首位に浮上し、9連勝でシティを迎え撃つ。

 2年目のブレンダン・ロジャース監督が作り上げたのは、スピード豊かで攻撃的なチームだ。ルイス・スアレス、ダニエル・スターリッジ、スティーブン・ジェラードの主軸を、ジョーダン・ヘンダーソン、マルティン・シュクルテル、シモン・ミニョレといった名脇役が支え、抜群の一体感を誇る。この25年間を振り返っても、現チームはもっとも攻撃的で、魅力的だ。

 資金力と競争力がほぼイコールで結ばれる昨今のプレミアリーグで、リバプールの躍進は時代へのアンチテーゼとも言える。ケニー・ダルグリッシュ前監督が去ってからのこの2年間は、高給取りを人員整理して、会計帳簿のバランスを整えるダウンサイジングを推し進めていたのだ。アンディ・キャロル、スチュワート・ダウニング、ジョー・コール、アルベルト・アクイラーニなどの放出で、1年当たり3000万ポンド(約52億5000万円)のコスト削減を果たす一方、昨夏の補強費は1700万ポンド(約29億7500万円)にとどめた。

 こうした状況のなかで、チームをここまで導いたロジャースは称賛に値する。優勝したら、それこそクラブ史上に残る快挙だろう。優勝できなかったとしても、チャンピオンズ・リーグの出場権獲得(4位以内)はほぼ確実で、それは十分に素晴らしい達成だ。結末がどうあれ、リバプールファンは今シーズンの“成功”を謳歌すべきだ。

【記者】
James PEARCE|Liverpool Echo
ジェームズ・ピアース/リバプール・エコー
地元紙『リバプール・エコー』の看板記者。2000年代半ばからリバプールを担当し、クラブの裏の裏まで知り尽くす。辛辣ながらフェアな論評で、歴代の監督と信頼関係を築いた。

【翻訳】
松澤浩三
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