サウジの英雄、その名はサイード・アル・オワイラン。
少し、懐かしい人物に登場してもらおう。
世界の各大陸で、ロシア・ワールドカップ予選が佳境を迎えている。すでに予選を突破したのが日本、サウジアラビア、韓国、イラン、ブラジル、メキシコ、ベルギーで、開催国のロシアを含めた8チームの出場が確定。11月中旬の大陸間プレーオフで最後の1枠が決まり、全32代表が出揃う。
そんななか、FIFA(国際サッカー連盟)が公式サイトでかつてのワールドカップ・ヒーローをフィーチャーした。すでに来夏の本大会行きを決めているサウジアラビアとベルギーの両雄が戦った、1994年アメリカ大会のグループリーグ最終戦。初出場のサウジに1-0の大金星をもたらしたのが、“砂漠のマラドーナ”こと、サイード・アル・オワイランだ。
試合開始5分、自陣でボールを受けたオワイランはドリブルを開始。するするとマーカーを交わしてスピードを上げると、最後は名GKミシェル・プロドオムをも打ち破る。5人の守備者を抜き去って60メートルを独走した、大会史に残るセンセーショナル・ゴール。サウジはグループ2位に浮上、首位の“赤い悪魔”は3位に転落した(ともにラウンド・オブ16に進出)。「ワシントンの奇跡」と謳われた、世紀のアップセットだ。
8月19日で50歳になったサウジの英雄は、当時をこう振り返った。
「紛れもない私のベストゴールだった。すべてのサウジ国民に、すべてのアラブ人に捧げたものだ」
2002年にFIFAは、ファン投票によって定められた「ワールドカップ・ゴール・オブ・ザ・センチュリー」を発表。そのランキングにおいて、オワイランの独走弾は堂々6位に選ばれている(1位はディエゴ・マラドーナの5人抜き)。
さらにサイトでは、名脇役の当時の証言も紹介されている。ベルギー代表のCBで主将だった、ジョージ・グルンが「どんどんどんどん行かせてしまった」と悔やめば、指揮官のポール・バン・ヒムストは「普通の選手ならあそこまで長くは走れない。だから誰もタックルに行かなかったんだ」と守備陣を擁護。そして、「じゃなきゃあんなことにはならない。キーパーまで打ち破られるとは……異常だよ」と溜め息をついた。
だがオワイランにとっては、かならずしも栄華の始まりではなかったようだ。
「たしかにあのゴールは私にスポットライトを当て、世界中の誰もが私のことを知ってくれた。ただ、あのゴールによってすべてが変わった。重くのしかかったんだ。もう1000回近くあのゴールを観たんじゃないかな。はっきり言おう。もう、うんざりだとね」
世界の各大陸で、ロシア・ワールドカップ予選が佳境を迎えている。すでに予選を突破したのが日本、サウジアラビア、韓国、イラン、ブラジル、メキシコ、ベルギーで、開催国のロシアを含めた8チームの出場が確定。11月中旬の大陸間プレーオフで最後の1枠が決まり、全32代表が出揃う。
そんななか、FIFA(国際サッカー連盟)が公式サイトでかつてのワールドカップ・ヒーローをフィーチャーした。すでに来夏の本大会行きを決めているサウジアラビアとベルギーの両雄が戦った、1994年アメリカ大会のグループリーグ最終戦。初出場のサウジに1-0の大金星をもたらしたのが、“砂漠のマラドーナ”こと、サイード・アル・オワイランだ。
試合開始5分、自陣でボールを受けたオワイランはドリブルを開始。するするとマーカーを交わしてスピードを上げると、最後は名GKミシェル・プロドオムをも打ち破る。5人の守備者を抜き去って60メートルを独走した、大会史に残るセンセーショナル・ゴール。サウジはグループ2位に浮上、首位の“赤い悪魔”は3位に転落した(ともにラウンド・オブ16に進出)。「ワシントンの奇跡」と謳われた、世紀のアップセットだ。
8月19日で50歳になったサウジの英雄は、当時をこう振り返った。
「紛れもない私のベストゴールだった。すべてのサウジ国民に、すべてのアラブ人に捧げたものだ」
2002年にFIFAは、ファン投票によって定められた「ワールドカップ・ゴール・オブ・ザ・センチュリー」を発表。そのランキングにおいて、オワイランの独走弾は堂々6位に選ばれている(1位はディエゴ・マラドーナの5人抜き)。
さらにサイトでは、名脇役の当時の証言も紹介されている。ベルギー代表のCBで主将だった、ジョージ・グルンが「どんどんどんどん行かせてしまった」と悔やめば、指揮官のポール・バン・ヒムストは「普通の選手ならあそこまで長くは走れない。だから誰もタックルに行かなかったんだ」と守備陣を擁護。そして、「じゃなきゃあんなことにはならない。キーパーまで打ち破られるとは……異常だよ」と溜め息をついた。
だがオワイランにとっては、かならずしも栄華の始まりではなかったようだ。
「たしかにあのゴールは私にスポットライトを当て、世界中の誰もが私のことを知ってくれた。ただ、あのゴールによってすべてが変わった。重くのしかかったんだ。もう1000回近くあのゴールを観たんじゃないかな。はっきり言おう。もう、うんざりだとね」