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【小宮良之の日本サッカー兵法書】豪州戦で見えた日本代表の利点、サウジ戦以降で心掛けるべき点

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年09月04日

相手に得点を与えない装置を各所に施していた日本

的確な戦法と個々のプレーによってオーストラリアの力を半減させ、大一番を制してロシア行きを決めた日本。大きな関門を突破した。しかし、本大会のことを考えれば、今後の試合こそ重要なものとなる。 写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 8月31日のロシア・ワールドカップのアジア最終予選、オーストラリアの日本に対する戦い方は、あまりに愚直だった。
 
「ポゼッションはできたが、効果的ではなかったと思う。(攻守の切り替えの)トランジッションで問題を抱えていた」
 
 アンジェ・ポステコグルー監督はこう述懐しているが、まるで意固地になったような後方からの繋ぎは、日本の“いいカモ”になった。敗戦の決定打となった2失点目も、日本選手が密集した地域で無理に繋ごうとし、不用意なバックパスを狙われ、井手口陽介にドリブルからのシュートを許した。
 
「チャンスを決められず、有利な展開にならなかった」
 
 ポステコグルー監督は総括したが、あまりにイノセントな戦い方だったと言える。3バックは日本の3トップにはめられるかたちで、ダブルボランチもインサイドハーフに抑えられ、まるで工夫がなかった。
 
 左右のウイングバックの攻撃力に強みがあるにもかかわらず、そこに行く経路を封じられていた――。
 
 こうしてオーストラリア側から決戦を振り返ると、日本の戦いが老獪だった様子が滲み出てくる。
 
 日本は、オーストラリアにゴールを与えない装置を、あちこちに施していた。まず、前線からのプレッシングを徹底。中盤では、攻守にインテンシティーを与えられる選手を起用していた。この2つの戦線をも乗り越えてきた攻撃に対しては、バックラインがラインを下げずに対峙した。
 
 日本は戦略的にも、戦術的にも、オーストラリアを上回った。
 
 試合の分岐点をひとつだけ挙げるなら、オーストラリアがトミ・ユリッチ、ティム・ケイヒルを投入し、2トップにした時間帯だろうか。
 
 オーストラリアは、CFタイプのユリッチが入ったことで、駆け引きとボディコンタクトによって日本のCBを疲弊させる。
 
 最前線に杭を打ち込んだことで日本の中央部の守備をたわませ、これによって得意とする両サイドからの攻撃が活性化した。日本を揺さぶり、81分にはマシュー・レッキーがミドルシュートを浴びせ、右ポストを叩いている。もし、このレッキーのシュートが決まっていたら、潮目は変わっていただろう。
 
 しかし、その1分後だ。日本は、オーストラリアの敵陣内での安易な繋ぎをカット。これを拾った井手口が推進力の高いドリブルで持ち込み、強力なミドルを叩き込んで、試合を決めた。
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