【番記者通信】ダービーが証明した立場の逆転|マンチェスター・C

カテゴリ:メガクラブ

スチュアート・ブレナン

2014年04月01日

赤のチームは痛々しく足をひきずりながら…。

シティがアウェーで完勝したダービーマッチは、完全なる立場の逆転を印象づけた。 (C) Getty Images

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 マンチェスター・ダービーで0-3の完敗を喫したユナイテッドのファンは、その結果以外にも屈辱を味わった。

 オイルマネーでのし上がり、カネで成功を買ったとこき下ろしていた相手より、実はカネを使っていて、なおかつ惨敗したのだ。ダービーマッチに先発した11人の獲得費用の総額は、シティの1億8820万ポンド(約301億円)に対し、ユナイテッドは2億870万ポンド(約334億円)だ。

 アレックス・ファーガソン前監督のモットー、「バリュー・フォー・マネー(お買い得)」は、実際は絵に描いた餅に終わっていたわけだ。リオ・ファーディナンドの移籍金は、GKジョー・ハートを含めたシティの最終ラインの移籍金総額とほぼ同じだ。完全な傍観者となっていたマルアン・フェライニの移籍金は、シティの中盤で眩いほどの輝きを放ったトゥーレ・ヤヤ、サミア・ナスリ、ダビド・シルバの誰よりも高額だ。

 3000万ポンド(約48億円)の価値はないと酷評されたフェルナンジーニョは、いまやシティに不可欠の戦力で、チームを一段上のレベルへと押し上げた。3700万ポンド(約59億円)のファン・マヌエル・マタがユナイテッドにもたらしたインパクトは、はたしてどれほどのものか。

 賢い投資をしているのは、明らかにシティのほうだ。アカデミーも充実一途で、ユナイテッドのそれを完全に凌駕している。なにしろ、ユナイテッドの主砲ロビン・ファン・ペルシとコーチのフィル・ネビルが、ともに愛息をシティのアカデミーに預けているほどだ。

 シティを所有するアブダビの王族は、国家のPRを兼ねたビジネス的な投資としてサッカー界に進出した。アラブ首長国連邦(UAE)を構成するアブダビ首長国を、いわば世界地図に載せるためのプロジェクトが、シティの買収だったわけだ。そして、シティの成功とともに、アブダビの知名度は上がり、いまや人気の観光地となっている。

 一方、サッカー界の一大ブランドであるユナイテッドは、アメリカの富豪グレイザー一族の買収以降、借金まみれのクラブになってしまった。

 もちろん、堕ちてもユナイテッドだ。偉大なクラブであることに変わりはなく、世界的なブランド力はいまなお強力だ。しかし、マンチェスターの街では立場が逆転した。青のチームが実権を握り、その脇を赤のチームが足を引きずりながら痛々しく歩いている。

【記者】
Stuart BRENNAN|Manchester Evening News
スチュアート・ブレナン/マンチェスター・イブニング・ニュース
マンチェスターの地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』のフットボール記者で、2009年から番記者としてシティに密着。それまではユナイテッドを担当し、両クラブの事情に精通する。

【翻訳】
松澤浩三
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