【番記者通信】「20分の距離」をモウリーニョは踏破できるか|チェルシー

カテゴリ:メガクラブ

ダン・レビーン

2014年03月29日

二度の優勝を誇るが、チェルシーでは悔しい敗退を続けている。

今シーズンのCL決勝は、リスボンのルス・スタジアムが会場。モウリーニョはチェルシーを率いて“凱旋帰国”を果たせるか。 (C) Getty Images

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 リスボン郊外にあるヴァスコ・ダ・ガマ橋は、17キロも続く欧州最長の橋である。この橋は、ジョゼ・モウリーニョの生まれ故郷セトゥーバルと、今シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝が開催されるリスボン(会場はベンフィカの本拠地ルス)を結ぶハイウェーの一部だ。

 5月24日。モウリーニョはチェルシーを率いて、リスボンへと辿りつくことができるだろうか。

 ポルト(04年)とインテル(10年)でCLを制したモウリーニョも、チェルシーでは悔しい敗退を続けている。

 不運に泣かされたのは、2004-05シーズンだ。リバプールとの準決勝は1点を争う接戦となり、2試合を通じて唯一の得点となったルイス・ガルシアの決勝ゴールは、映像で見返すとゴールラインを越えていなかった。

 翌シーズンは決勝トーナメント1回戦でバルセロナに行く手を阻まれ、続く06-07シーズンは、ふたたびリバプールに準決勝で惜敗した。PK戦での決着だった。

 皮肉なのは、ついに悲願が成就した12年のCL初優勝は、モウリーニョとは無関係だったこと。監督は、シーズン途中に就任した暫定指揮官のロベルト・ディ・マッテオだった。

 6年ぶりにチェルシーの監督に復帰したモウリーニョは、「今シーズンのリーグ優勝はない」と繰り返している。チームはそこまでのレベルに達していないと主張し、CL優勝はさらに2年後まで手は届かないと言う。たしかに、いまのチェルシーは過渡期にある。

 私は先日、リスボンを訪れた。CL決勝の開催地となったことを人々は誇りに感じ、モウリーニョがチェルシーを率いて“凱旋”することを期待していた。リスボンの人間にとって、ポルト閥のモウリーニョは必ずしも好ましい人物ではないようだが、少なくとも私が取材した人の多くは、凱旋帰国を望んでいた。

 セトゥーバルと決勝会場のルスは、ヴァスコ・ダ・ガマ橋を挟んでおよそ20分の距離だ。はたしてモウリーニョは、その距離を踏破できるだろうか。

【記者】
Dan LEVENE|Fulham Chronicle
ダン・レビーン/フルアム・クロニクル
チェルシーのお膝元、ロンドン・フルアム地区で編集・発行されている正真正銘の地元紙『フルアム・クロニクル』のチェルシー番。親子三代に渡る熱狂的なチェルシーファンという筋金入りで、厳しさのなかにも愛ある筆致が好評だ。

【翻訳】
松澤浩三
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