後続の若手をインスパイアする最高の模範。
ブレンダン・ロジャース監督が若手の抜擢に積極的なタイプでもあり、ここ2年でアカデミー出身の有望株が陽の目を見ている。昨シーズンはジョーダン・イベ(95年生まれ)がトップチームにデビューし、今シーズンはSBブラッド・スミス(94年生まれ)とMFジョアン・カルロス・テシェイラ(93年生まれ)が続き、CBステファン・ザマ(93年生まれ)、MFキャメロン・ブラナガン(96年生まれ)、MFジョーダン・ロシター(97年生まれ)はベンチ入りを果たしている。
彼らには、格好のお手本がある。93年生まれのジョン・フラナガンだ。SBの俊英がデビューしたのは3年前。18歳の時にケニー・ダルグリッシュ監督(当時)にチャンスをもらった。その後、成長スピードが鈍り、戦力外的な扱いとなった今シーズン開幕前は、放出が既定路線と考えられていた。しかし、そこから盛り返し、いまやチームに不可欠の戦力となっている。ロジャース監督は、クラブOBでレジェンドのスティーブ・ニコルと比較してフラナガンを激賞。2015年6月に満了する現行契約は、更新が時間の問題だ。
アカデミー育ちの若者が、挫折を乗り越え、トップチームのレギュラーの座をつかむ。まさにシンデレラストーリーを地で行ったフラナガンは、後続の若手にインスピレーションを与える最高の模範だろう。
高いプロフェッショナリズムを保ち、決して腐らずに練習を重ね、チャンスを待ち続ける。いつやって来るとも分からないそのチャンスに備えて準備を怠らず、いざやって来たら、それをしっかりと掴み取る。フラナガンが実行したのは、まさに面壁九年(めんぺきくねん)だ。
チャンスは突然やってきた。昨年11月、アウェーでのアーセナル戦だ。右SBの主戦、グレン・ジョンソンの故障欠場がそれだった。代役に指名されたフラナガンは、落ち着いたパフォーマンスで好印象を残し、次節のビッグマッチ、エバートンとのマージーサイドダービーでもスタメンで起用されるのだ。
この試合でも、フラナガンは素晴らしかった。21歳という年齢を忘れさせる円熟のプレーを見せ、チームは引き分けたものの、ピッチを下がる際にはファンからスタンディング・オベーションで称えられた。その後、12月のトッテナム戦で公式戦初ゴールと、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。ハムストリングを痛めて1か月弱戦列を離れたものの、1月下旬のこれもマージーサイドダービーで復帰すると、それから先発の座を守りつづけている。
ビッグゲームであればあるほど、フラナガンは躍動する。恐いもの知らずで、最高の集中を見せるのだ。30節のマンチェスター・ユナイテッド戦でも、左SBで攻守に質の高いプレーを披露し、3-0の快勝に貢献した。
試練を乗り越え、チャンスをモノにしたフラナガンは、最高の“教材”だ。
【記者】
James PEARCE|Liverpool Echo
ジェームズ・ピアース/リバプール・エコー
地元紙『リバプール・エコー』の看板記者。2000年代半ばからリバプールを担当し、クラブの裏の裏まで知り尽くす。辛辣ながらフェアな論評で、歴代の監督と信頼関係を築いた。
【翻訳】
松澤浩三
彼らには、格好のお手本がある。93年生まれのジョン・フラナガンだ。SBの俊英がデビューしたのは3年前。18歳の時にケニー・ダルグリッシュ監督(当時)にチャンスをもらった。その後、成長スピードが鈍り、戦力外的な扱いとなった今シーズン開幕前は、放出が既定路線と考えられていた。しかし、そこから盛り返し、いまやチームに不可欠の戦力となっている。ロジャース監督は、クラブOBでレジェンドのスティーブ・ニコルと比較してフラナガンを激賞。2015年6月に満了する現行契約は、更新が時間の問題だ。
アカデミー育ちの若者が、挫折を乗り越え、トップチームのレギュラーの座をつかむ。まさにシンデレラストーリーを地で行ったフラナガンは、後続の若手にインスピレーションを与える最高の模範だろう。
高いプロフェッショナリズムを保ち、決して腐らずに練習を重ね、チャンスを待ち続ける。いつやって来るとも分からないそのチャンスに備えて準備を怠らず、いざやって来たら、それをしっかりと掴み取る。フラナガンが実行したのは、まさに面壁九年(めんぺきくねん)だ。
チャンスは突然やってきた。昨年11月、アウェーでのアーセナル戦だ。右SBの主戦、グレン・ジョンソンの故障欠場がそれだった。代役に指名されたフラナガンは、落ち着いたパフォーマンスで好印象を残し、次節のビッグマッチ、エバートンとのマージーサイドダービーでもスタメンで起用されるのだ。
この試合でも、フラナガンは素晴らしかった。21歳という年齢を忘れさせる円熟のプレーを見せ、チームは引き分けたものの、ピッチを下がる際にはファンからスタンディング・オベーションで称えられた。その後、12月のトッテナム戦で公式戦初ゴールと、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。ハムストリングを痛めて1か月弱戦列を離れたものの、1月下旬のこれもマージーサイドダービーで復帰すると、それから先発の座を守りつづけている。
ビッグゲームであればあるほど、フラナガンは躍動する。恐いもの知らずで、最高の集中を見せるのだ。30節のマンチェスター・ユナイテッド戦でも、左SBで攻守に質の高いプレーを披露し、3-0の快勝に貢献した。
試練を乗り越え、チャンスをモノにしたフラナガンは、最高の“教材”だ。
【記者】
James PEARCE|Liverpool Echo
ジェームズ・ピアース/リバプール・エコー
地元紙『リバプール・エコー』の看板記者。2000年代半ばからリバプールを担当し、クラブの裏の裏まで知り尽くす。辛辣ながらフェアな論評で、歴代の監督と信頼関係を築いた。
【翻訳】
松澤浩三