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元浦和トレーナーが見た鈴木啓太の“真実” 知られざる過酷な現役生活を16年続行できた理由とは?

カテゴリ:Jリーグ

佐藤亮太

2017年07月18日

「(病気の)ダメージは相当大きかったはず。普通なら終わっていた」

7月17日に埼玉スタジアムで引退試合を行なった鈴木啓太。“同窓会”をコンセプトとしたイベントには多数のOBたちが集結した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 久しぶりに登場した、かつてのコールリーダーが往年の選手のチャントで2万5000人の観衆を沸かせば、ピッチには鈴木啓太と、仲間たちがひとつのボールを追いかけた。

 
 そこには、確かに“あのときの埼スタ”があった。
 
“同窓会”と称した引退試合は、鈴木啓太という人間がピッチ内外を問わず、積み重ねた人徳があったからこそ実現した。
 
 そのことは引退試合に参加した選手の声で分かる。
 
「人の気持ちがよく分かる選手(巻誠一郎)」
「嫌な役割を一歩引いてできる選手。“水を運ぶ人”というのが分かった(中村俊輔)」
「マジメだったけど堅くない。明るいけど甘くない(ゲルト・エンゲルス元監督)」
「啓太は生涯付き合っていく人間(ロブソン・ポンテ)」
 
 また、その人柄を聞けば、異口同音で返ってくるのが“気遣いの人”だ。しかし、それだけではない。
 
「自分の意志を強く貫く人」
 
 そう語るのが、かつて浦和レッズでトレーナーを務め、今回の引退試合をベンチで見守った清水康嗣さんだ。
 
 絶頂期を迎えた2006年、07年。年間60試合以上を戦った鈴木啓太の苦悩を清水さんは目の当たりにしている。
 
 連戦に次ぐ連戦。疲れた身体を癒すべく鈴木は高級食材をふんだんに使った一杯数万円のスープを飲み干し、再びピッチに向かった。初めは効いていた特製スープもまったく効かなくなるほど、その身体は疲弊しきった。
 
 その代償は大きく、08年に扁桃腺の炎症により、欠場。現役を続けられるのかと思われるほど、急激にやせ細り、さらに怪我にも悩まされた。
 
 しかし、終わらなかった。
 
 09年からは3年間、チームキャプテンを任された。11年には残留争いを経験。チームを救った。12年からミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任。徐々に出場機会は減らしたものの、15年シーズン終了まで現役を続行。16年間の現役生活で“浦和の男”を全うした。
 
 紆余曲折があった鈴木のサッカー人生を、清水さんはこう語る。
「(続けられたのは)病気に負けないほどの強い意志があったから。相当、(病気の)ダメージが大きかったはずだし、普通だったらとっくに終わっていたと思う。たしかに啓太くんは人を気遣える優しい気持ちの持ち主。でも、私のなかでは強い意志を貫いたというイメージがとても強い」
 
 長く知っている清水さんだからこその言葉だ。
 
 引退試合でひとつの区切りをつけた鈴木啓太。
「ただの元アスリートではなく、結果を残して、いずれサッカーの世界に戻りたい」
 
 まっすぐな意志の強さと周囲への気遣い。それは、長い長い第二の人生でも必ず活かされる。
 
取材・文:佐藤亮太(レッズプレス!!)

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