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【小宮良之の日本サッカー兵法書】クライフしかり、ジダンしかり――勝てる監督が有する言葉のマジック

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年06月29日

論理を打ち破るような一言が必要となることも

名選手にして名監督。美しいサッカーを愛し、それを選手にも求め、そのための指導は的確だった。天才ゆえに個性は強く、選手との対立も少なくなかったクライフだが、その言葉には人を動かす力があった。 (C) Getty Images

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<大声を出して選手の闘争心を煽る>
 
 それは監督が日常的に行なう、仕事の一端と言えるかもしれない。
 
 強く戦う気持ちを伝える。まるで、脳内の闘争心を選手たちに移植するように――。
 
 それはリーダーとして、決して珍しいやり方ではない。常套手段のひとつと言えるだろう。
 
 しかし、当然のことだが、怒鳴れば必ず選手の気分が高まる、とは限らない。逆効果となる場合も多々あるだろう。
 
 いつ、どこで、どのようにして、選手の士気を高めるような一言を発せられるか? そこに、リーダーとしての重要なポイントがある。それは言い換えれば、リーダーには、選手の心に響く言葉が求められるということだろう。
 
 場合によっては、論理を打ち破るような一言が必要となることもある。古今の名将も、乾坤一擲の勝利を得るに、時として論理を捨てている。
 
 例えば、戦国時代の猛将、柴田勝家は大軍に囲まれた時、籠城に必要な水瓶を割って、城内の水を将兵にたらふく飲ませた。敵に余裕を見せる一方、水瓶を割ることで「ここが死に場所。末期の水とせよ」と不退転の意志を示し、窮地を脱した。
 
 また、西楚の覇王、項羽は渡河した後に船を焼き、食料も3日分を残していながらも全て川に捨てている。「活路は前にしかない」と宣言して自軍を追い込み、10倍もの兵力を誇る敵軍を破ったのだ。
 
 籠城で水瓶を割るのも、川を背にして戦う行為も、アンロジカルな決断である。わざわざ、自らを不利な立場に置いている。しかし、兵士の腹を据わらせるにリーダーが非情さを見せることは、有効となり得る。
 
 もっとも、気まぐれから、趣向の違うやり方で選手の士気を高めようとしても、きっと失敗するだろう。なぜなら、選手は監督の言葉の中身よりも、普段の生きざまのほうを見ているからだ。
 
 柴田勝家は「かかれ柴田」という異名にあるように、突撃を得意とした。項羽も勇猛さは天下に轟き、戦は百戦して百勝、という経歴があった。将兵たちは、そこに説得力を感じたのだ。
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