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【浦和】天皇杯初戦で平川忠亮に主将を任せた意味。背中で語れる38歳が放ったいぶし銀の輝き

カテゴリ:Jリーグ

轡田哲朗

2017年06月23日

「その15メートルをきっちり戻ってこい」

初戦のグルージャ盛岡戦を3-2で辛勝した浦和。38歳の平川がキャプテンマークを巻いた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 そのプレーを見れば、言われるまで“今季初出場”という事実には気が付かなかった。天皇杯初戦となった6月21日の2回戦、グルージャ盛岡戦のピッチには、キャプテンマークを巻いた平川忠亮の姿があった。
 
 1979年生まれの平川は先月38歳になった。2003年から5年間、毎シーズンタイトルを獲得した浦和の黄金期のすべてを知る最後の存在は、2014年を最後にレギュラーポジションからは遠ざかっている。しかし、口数こそ多くないものの、トレーニングで一切の手を抜くことなく、背中で若手に語り掛ける姿は、浦和にとって欠かせない貴重な存在だ。柏木陽介など、平川を慕う選手は数多い。
 
 天皇杯は毎年、下部カテゴリーの相手との初戦になる。それでも「痛い思いも何度かしてきたのでね」と振り返るように、“格下”といわれる相手にまさかの敗退を喫した経験もあった。そうした試合でキャプテンマークを最年長の平川に任せたのは、まさに地に足を着けて戦えというミハイロ・ペトロヴィッチ監督からのメッセージでもあった。
 
 いつも通り、右ウイングバックのポジションに入った平川は、冷静さの際立つプレーを見せた。逆サイドの菊池大介が、チャンスを生かそうと高ぶる気持ちを抑えられないようなプレーをする一方、チーム全体を落ち着かせようとする姿勢が際立った。そして、後半に右ストッパーの位置に入ると、前線の選手たちに対して「その15メートルをきっちり戻ってこい」と、アピールに走りがちなチームにやるべきことを徹底させた。
 
 確かに現在の平川は、チームで右サイドのレギュラーを争う関根貴大や駒井善成のような爆発的な突破力を見せることはなくなった。しかし、サッカーチームは試合当日だけ活動しているわけではない。浦和の輝かしい歴史も苦しい過去も知り、チャンスがほとんどない状況でもトレーニングに全力を尽くす平川がいること自体が貴重なことだ。そして、いきなり出場機会が訪れても、何ひとつ慌てることなくプレーできるのは、さすがの一言だ。
 
 確かに、天皇杯初戦でJ3の盛岡を相手にした1点差勝利は決して褒められるものではないかもしれない。それでも、トーナメント方式で絶対に譲れない勝利という結果を浦和は確保した。そのピッチで、キャプテンマークを巻いたベテランが、まさにいぶし銀の輝きを放っていた。
 
取材・文:轡田哲朗(フリーライター)
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