新経営陣とライオラ代理人の「フィーリングの問題」とも。
イタリア代表GKのジャンルイジ・ドンナルンマがミランの契約延長オファーを断った6月15日以降、その周辺では喧々諤々の騒動が続いている。
現行契約は2018年6月までのためレアル・マドリー、マンチェスター・U、パリSG、ユベントスが獲得に乗り出したと伝えられ、年俸500万ユーロ(約6億円)という18歳にしては破格の待遇を蹴ったことファンが「守銭奴」と怒りの抗議行動に出れば、代理人のミーノ・ライオラとクラブ幹部は舌戦を繰り広げ、家族がサポーターに脅迫された。さらに、本人が残留を望むためここにきて再交渉も噂されるなど、「ジャンルイジ・ブッフォンの後継者」を巡るニュースと議論は後を絶たない。
そんな中、元オーナーのシルビオ・ベルルスコーニの興味深いコメントを、現地時間6月21日の『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』紙が伝えた。いわく、「私ならドンナルンマを説得できた」という。
「私なら慰留に全力を尽くすね。いずれ1億ユーロ(約120億円)で売れる可能性がある選手なのだから、誰だってそうするんじゃないか? 私の説得力をもってすれば、しばらく残ることを納得させたうえで、彼に大きなチャンスを与える中間案を見つけていただろうね」
1986年にミランを買収したベルルスコーニは、巨万の私財を投じてチームを強化し、計31個のタイトルをもたらす黄金時代をもたらした。しかし、親会社の業績不振もあって今年4月13日に全クラブ株式を中国資本に売却。強化と経営を仕切った盟友のアドリアーノ・ガッリアーニ元副会長とともに、一線から退いた。
その後、ミランの経営・強化はマルコ・ファッソーネCEOとマッシミリアーノ・ミラベッリSDの元インテル・コンビに委ねられた。しかし、ベルルスコーニは両者についての評価こそ避けたが、ドンナルンマに関しては「慰留できた」と自信を見せた。一介の企業家からイタリア共和国の首相にまで上り詰めた男だけに、たしかに人心掌握術はあるだろうし、口八丁もお手の物だろう。
また、今回の一件は新経営陣とライオラ代理人の「フィーリング不足」が原因のひとつも言われるだけに、その敏腕エージェントと数々の取引を成立させる昵懇の仲だったガッリアーニ元副会長のフォローがあれば、たしかに事態は変わっていたかもしれない。
とはいえ、ベルルスコーニ&ガッリアーニ時代末期のミランは財政難に苦しんでおり、例えば2012年夏にはFWズラタン・イブラヒモビッチとDFチアゴ・シウバという攻守の要をパリSGにダブル売却せざるをえなかった。彼らが残っていれば、新経営陣がオファーした年俸500万ユーロは絶対に提示できなかっただろう。
さらに、今夏にすでに獲得済みのDFマテオ・ムサッキオ(ビジャレアルから)、MFフランク・ケシエ(アタランタから)、DFリカルド・ロドリゲス(ヴォルフスブルクから)、FWアンドレ・シウバ(ポルトから)に計1億200万ユーロ(約122億円)を投じることも不可能だった。ライオラ代理人は遠からず“世界最高のGK”になると謳われるドンナルンマに相応しい強力なチームを残留条件の一つに上げていただけに、ヨーロッパリーグ出場権獲得が精一杯だった16-17シーズンと同様の戦力では慰留が難しかったのも事実だ。
その意味では、今回のベルルスコーニ発言は「一理あるがツッコミどころも満載」と言える。
現行契約は2018年6月までのためレアル・マドリー、マンチェスター・U、パリSG、ユベントスが獲得に乗り出したと伝えられ、年俸500万ユーロ(約6億円)という18歳にしては破格の待遇を蹴ったことファンが「守銭奴」と怒りの抗議行動に出れば、代理人のミーノ・ライオラとクラブ幹部は舌戦を繰り広げ、家族がサポーターに脅迫された。さらに、本人が残留を望むためここにきて再交渉も噂されるなど、「ジャンルイジ・ブッフォンの後継者」を巡るニュースと議論は後を絶たない。
そんな中、元オーナーのシルビオ・ベルルスコーニの興味深いコメントを、現地時間6月21日の『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』紙が伝えた。いわく、「私ならドンナルンマを説得できた」という。
「私なら慰留に全力を尽くすね。いずれ1億ユーロ(約120億円)で売れる可能性がある選手なのだから、誰だってそうするんじゃないか? 私の説得力をもってすれば、しばらく残ることを納得させたうえで、彼に大きなチャンスを与える中間案を見つけていただろうね」
1986年にミランを買収したベルルスコーニは、巨万の私財を投じてチームを強化し、計31個のタイトルをもたらす黄金時代をもたらした。しかし、親会社の業績不振もあって今年4月13日に全クラブ株式を中国資本に売却。強化と経営を仕切った盟友のアドリアーノ・ガッリアーニ元副会長とともに、一線から退いた。
その後、ミランの経営・強化はマルコ・ファッソーネCEOとマッシミリアーノ・ミラベッリSDの元インテル・コンビに委ねられた。しかし、ベルルスコーニは両者についての評価こそ避けたが、ドンナルンマに関しては「慰留できた」と自信を見せた。一介の企業家からイタリア共和国の首相にまで上り詰めた男だけに、たしかに人心掌握術はあるだろうし、口八丁もお手の物だろう。
また、今回の一件は新経営陣とライオラ代理人の「フィーリング不足」が原因のひとつも言われるだけに、その敏腕エージェントと数々の取引を成立させる昵懇の仲だったガッリアーニ元副会長のフォローがあれば、たしかに事態は変わっていたかもしれない。
とはいえ、ベルルスコーニ&ガッリアーニ時代末期のミランは財政難に苦しんでおり、例えば2012年夏にはFWズラタン・イブラヒモビッチとDFチアゴ・シウバという攻守の要をパリSGにダブル売却せざるをえなかった。彼らが残っていれば、新経営陣がオファーした年俸500万ユーロは絶対に提示できなかっただろう。
さらに、今夏にすでに獲得済みのDFマテオ・ムサッキオ(ビジャレアルから)、MFフランク・ケシエ(アタランタから)、DFリカルド・ロドリゲス(ヴォルフスブルクから)、FWアンドレ・シウバ(ポルトから)に計1億200万ユーロ(約122億円)を投じることも不可能だった。ライオラ代理人は遠からず“世界最高のGK”になると謳われるドンナルンマに相応しい強力なチームを残留条件の一つに上げていただけに、ヨーロッパリーグ出場権獲得が精一杯だった16-17シーズンと同様の戦力では慰留が難しかったのも事実だ。
その意味では、今回のベルルスコーニ発言は「一理あるがツッコミどころも満載」と言える。