最大の見せ場は、54分に訪れた。
ブエノのスルーパスに抜け出し、GKと1対1のビッグチャンスを迎える。しかし、金森健志の右足から放たれたシュートはチョン・ソンリョンに阻まれた。
「裏は常に狙っています。でも、あの1対1を決める選手にならないといけない。ちょっと迷ってしまい、思い切り打てば良かったんですけど、コースを狙い過ぎてしまった」
ゴール前には、鈴木優磨がスタンバイしていた。「あそこで冷静に、周りが見えていれば、もっと良い形に持ち込めたと思う」と、悔しがる。
今季、福岡から加入した金森にとり、この日は移籍後リーグ戦初出場&初先発で、初めてのカシマスタジアムでのゲームだった。
「気持ちと球際では絶対に負けない」
そう心に誓ってピッチに立った。序盤はやや硬さが見られたが、時間の経過とともにエンジンがかかり、力強く前を向いて局面を打開するなど、持ち味を発揮できるようになる。
しかし、結果を残すことはできなかった。「FWとしてゼロで終わったのは、すごく悔しい」と唇を噛み、「0-3で負けて、応援してくれたファン・サポーターのみなさんに申し訳ない」と肩を落とす。
ほろ苦いホームデビューとなってしまった。ただ、いつまでも下を向いているわけにはいかない。踏み出した一歩を無駄にしないためにも、あとは前に突き進むしかない。
「ホームでずっと出たかったし、このスタジアムで鹿島アントラーズの一員として試合に出られたことは、ポジティブに捉えたい。ここからが自分のスタートだと思っている。必ず結果を残したい」
川崎戦のパフォーマンスを「不完全燃焼」と振り返る。ただ、不甲斐ない出来だったからこそ、タイトルを義務付けられている常勝軍団で、自分は何をすべきかを改めて確認できたのかもしれない。
23歳のアタッカーは言葉に力を込める。
「鹿島は優勝しなければいけないチーム。それに貢献するために移籍してきた。そこは本当に頑張りたい」
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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