【名古屋】今季初の4失点で惨敗…。それでも風間監督の表情が明るかった理由

カテゴリ:Jリーグ

柚野真也

2017年05月14日

シモビッチを狙って長いボールを放り込むのが手っ取り早いが…。

風間監督が目指すスタイルに、選手たちは共感しているようだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 1-4で敗れた13節の大分戦後、名古屋の風間八宏監督は、「相手を押し込むサッカーができたが、もっと(このスタイルに)慣れる必要がある。相手のカウンターはミスをしなければ防げた」と振り返った。
 
 相手にボールを渡さなければ守備をする必要がなくなる。究極とも言えるこのコンセプトに、同監督は名古屋でも挑戦している。
 
 確かにゲーム展開は名古屋がポゼッションで圧倒し、優勢のまま多くの時間を消化した。しかし、決定機は大分が7で名古屋は3。チャンスの数では大分が大幅に上回り、同時に名古屋の攻撃はほとんどがはね返された。
 
 試合前に大分の竹内が「フレームの外で回される分には怖さはない。どれだけ相手の嫌がることができるかが勝負を分ける。ウチはカウンターという武器がある。そこを上手く利用したい」と話したように、ホームチームのほうが効率の良いサッカーを演じたというのが、この試合の実情だろう。
 
 名古屋は最終ラインをハーフウェーライン付近まで高く設定し、コンパクトな陣形を保った。攻撃に人数をかける意識が強く、守備のリスク管理が疎かだったのは否めない。簡単に最終ラインの裏を抜かれ、カウンターからピンチを迎える回数が多かった。とりわけ追加点を奪われた後半は前のめりになり、後方の広大なスペースを面白いように使われ、失点を繰り返した。
 
 今後は、こうした反省点を修正することになる。ただ、指揮官は「失点の場面は守備自体よりもボールを取られてしまったことが問題。そこは辛抱強くやっていくしかない」と語ったが、表情は明るかった。ロッカールームから出てくる選手たちの表情も同じだった。もちろん悔しさを噛みしめながらではあるが、前向きな発言が多数を占めたのだ。
 
「悔しいけど完敗。でも試合を通して見えてきたことがある。90分間どれだけボールを保持し、相手を動かせるか。そこを突き詰めていけば結果は出る」(佐藤寿)
 
「守備がハマらなかったこともあるが、一番大事なのはボールを取られないようにすること。そのためには精度を上げる必要がある」(田口)
 
 1−4というスコアで敗れながら、新スタイルに共感する様子はありありとうかがえた。
 
 J2を勝ち抜くのを意識すれば、高さのあるシモビッチをターゲットに長いボールを放り込み、セカンドボールを拾って2次攻撃につなげる「勝ち方」を追求する方が手っ取り早い。
 
 しかし、風間監督は選手の発想を引き出すスタイルを選び、コンビネーションの確立に多くの時間を要することを承知で挑んでいる。
 
 J2屈指の高い個の能力を誇る戦力とはいえ、指揮官の理想を具現化するためには時間がかかる。1年でのJ1昇格を掲げているため、選手やサポーターが耐え切れるのか。辛抱強さが求められることになる。
 
取材・文:柚野真也(スポーツライター)
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