【大宮】幾度もの挑戦の果てに――。“さいたまダービー”で結実した江坂任の強い意志

カテゴリ:Jリーグ

古田土恵介(サッカーダイジェスト)

2017年05月02日

プレーぶりは気負っているようにも見えた。

好天に恵まれた“さいたまダービー”。独特な雰囲気に包まれた一戦で、江坂は少し球離れが悪いように映ったが……。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

[J1リーグ9節]大宮 1-0 浦和/4月30日(日)/NACK
 
 大宮のサポーターは上昇気流を掴むために気勢を上げ、浦和のサポーターは首位の誇りを声に乗せる。天候、晴。弱風。気温26.8度。湿度21パーセント。好天に恵まれた4月最終日。キックオフ前から会場となったNACK5スタジアム大宮のボルテージは異様なほどに高かった。
 
 直接対決の戦績も、8節終了時点の順位(大宮が0勝1分7敗の勝点1で18位、浦和が6勝1分1敗の勝点19で1位)も関係ない。どちらがどんな状況であろうと、両者には単純に勝利のみが求められる。
 
 それが、“さいたまダービー”なのだ。勝点1を分け合うのは敗北と同義。ただただ相手を打ちのめすのみ。チャントに、ブーイングに、高揚感が煽られる。何度足を運ぼうが、その度に特別な一戦から発せられる熱量には気圧されてしまう。
 
 ピッチに立つ選手は、何倍にも増幅された頼もしい後押しとともに、ある種のプレッシャーを感じるのではないだろうか。独特な雰囲気に飲まれる、または普段よりも気負っても不思議はない。
 
 江坂任のパフォーマンスも、そう見えた。「判断がいつもより遅い」。そんな言葉が記者席の後方から聞こえてくる。同感だった。攻撃に人数を掛けられないなかで、ある程度は独力での突破が必要なのは仕方がないが、得点への意識があまりに強く、球離れが悪いように思えた。
 
 11分、相手のパスミスをハーフウェイライン左で拾った。追ってきた浦和の武藤雄樹をいなして内に切り込む。前方にはダイアゴナルに右のスペースへ抜けようとする瀬川祐輔、左のスペースへ縦に走る長谷川アーリアジャスール。サポートに茨田陽生も寄ってきた。
 
 だが、どのパスコースも選択しない。まだペナルティエリアまで距離は残っているが、自ら仕掛ける。しかし、すぐに3人の浦和DFに囲まれてボールロスト。カウンターは失敗に終わった。
 
 あるいは後半開始立ち上がり、47分のシーン。自陣からのクリアボールを起点に、ハーフウェイライン右寄りで前向きのボールを持った。後ろから4人のDFが追ってくるが、眼前には浦和の遠藤航のみ。左を見れば、瀬川が並走している。
 
 ここでも江坂はドリブルを選んだ。全力で戻ってきた相手守備陣に囲まれる。そして再び、ボールを失った。パスも出せず、シュートも打てずにチャンス逸。結果的にプレー判断を誤った。
 
 江坂の仕掛けは続く。59分には相手に競り勝った大山からのパスを左サイドで受けた。対峙するのは青木拓矢。縦へ。切り返すような仕草を入れて抜き切ろうとしたが、スライディングによって阻まれてしまった。
【関連記事】
【J1採点&寸評】大宮×浦和|ダービー勝利の立役者は茨田! R・シルバは決定力を欠く…
【大宮】いつもの位置で、いつもと違うタスクを――。金澤慎が浦和に与えた痛烈な一撃
日本サッカーを彩る「美女サポーター」たちを一挙に紹介!
【大宮】“さいたまダービー”でゴールを射抜いた男。茨田陽生の忘れられないワンシーン
久保建英は、具体的に何が凄いのか? 今さら聞けない逸材の真価とは

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ