【日本代表】Jリーグよりもヨーロッパ。この固定概念を打ち破る人材は現われるのか?

カテゴリ:日本代表

熊崎敬

2017年04月12日

日本代表では現在の調子よりも過去の実績が殊の外、重視される。

クラブで出場機会を得られていない本田や宇佐美は、良い時の動きではなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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「中村ダービー」と呼ばれた日産スタジアムでの一戦は、ホームの横浜に軍配が上がった。10番対決は齋藤の勝利。ふたつのアシストで横浜を勝利に導いた。
 
 敗れた磐田の中村は精彩を欠き、ひとつ目の失点にも関与した。
 
 26分、左サイドから中央に切れ込んだ齋藤にあっさりとクロスを許し、先制点を決められた。正しい角度からしっかりと身体を寄せていたら、その後の展開は変わっていた可能性が高い。
 
 もっとも日本のメディアでは、守りに問題があったとしても、多くの場合、決めた方が素晴らしかったという論調になる。
 
 穴を作ったのがビッグネームであれば、なおさらだ。つまり近ごろ流行りの忖度は、実力主義であるはずのスポーツ界とも無縁ではない。特にサッカーはプレーが数値化しにくいため、恣意的な評価をすることもできる。
 
 こうした傾向は、日本代表のメンバー選考とも決して無縁ではないと思う。
 
 3月の最終予選では、ヨーロッパで出番の少ない川島、長友、宇佐美、本田が招集され、川島と長友は2試合フル出場、本田は2試合、宇佐美もタイ戦で途中出場した。川島は勝利に貢献したが、フィールドプレイヤーの3人は良い時の動きではなかった。
 
 日本代表では現在の調子よりも過去の実績が殊の外、重視される。つまりJリーグで活躍している選手より、ヨーロッパに渡った選手の方が重用される現実がある。
 
 その理由は、Jリーグのレベルが低いというだけではない。確かにハリルホジッチ監督が指摘するように、デュエルは足りないだろう。だが、それ以外にもビジネス的な思惑が幅をきかせている現実も見過ごせない。
 
 実績のない無名の選手より、実績のあるスターを起用した方が、チケットを売り、視聴率を上げることができるからだ。親善試合でも冒険しない、保守的な起用が続いてきたのはそのためだ。実績のある選手には、メディアも甘くなるところがある。
 
 最終予選は残り3試合、6月13日に行なわれるイラク戦の前にはシリアとの親善試合が控えている。この試合でも恐らく、ヨーロッパ組が優先的に起用されるのではないか。
 
 というのもヨーロッパはシーズンオフ、そうでなくても長い間プレーしていない選手は、実戦感覚を取り戻す必要があるからだ。こうなると実績のない選手のチャンスは減り、顔ぶれはますます硬直化することになる。
 
 開幕から2か月弱、Jリーグで説得力のあるプレーを見せている選手はいる。横浜の齋藤、鹿島の昌子や鈴木、浦和の武藤、C大阪の山村も面白い。
 
 現在の調子よりも過去の実績、Jリーグよりもヨーロッパ。こうした固定概念を華々しく打ち破る選手の台頭を期待したい。
 
文:熊崎 敬(スポーツライター)
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