「湘南が今日の出来なら、自分たちにもチャンスはある」
[J2リーグ7節] 東京V 2-3 湘南/4月9日/駒沢
後半のアディショナルタイム目前、スコアは1-3。東京Vは湘南に2点のリードを許し、敗色濃厚となっていた。
だが、窮地に立たされながらも、チームを駆動させようとする選手がいた。中盤の底に位置する背番号17。今季、G大阪から期限付き移籍で加入した内田達也、25歳。最終ラインからパスを引き出し、縦にボールをつける。少しでも時間が惜しいと、スローインを買って出る。競り合いの強さ、運動量は最後まで落ちない。
戦況とは無関係に、内田は相手からボールを奪い、どうやってゴールへの道筋をつけるか。それだけを考えている。この選手の本質的な強みだ。
90+3分、安在和樹の地を這うミドルシュートが決まったが、東京Vの反撃もここまで。4月9日、注目を集めたJ2上位対決は、湘南の勝利に終わる。東京Vの連勝は5でストップし、首位から引きずり下ろされた。
内田は敗戦を振り返って言う。
「久々に立ち上がりは良かったんですけどね……。自分たちのやりたいようにゲームを進められ、早い時間に点まで取れた。そこで、2点目を取りに行くか、堅く入るかという部分で全体の意思統一が不十分だった。僕自身もクリアになってなかったと思います」
東京Vはミス絡みで前半のうちにゲームをひっくり返され、後半セットプレーから致命的な3点目を食らった。
2点差を追い上げようとするなか、縦パスで攻撃のスイッチを入れ、そこからの崩しのアイデアが不足しているように見えた。だが、着実に進展は見られると内田は語る。
「縦にボールをつけることで、一度中を締めさせ、外からクロスを入れるという形が理想的ですが、今日はアラン(・ピニェイロ)が少し縦に仕掛けるだけで相手が嫌そうにしていた。それなら、できるだけ早く前を向かせて、仕掛けさせたほうがいいだろうと。
ドウグラス(・ヴィエイラ)が入った後は、クロスの意識を強めてチャンスにつなげられました。もっとアイデアを出していきたいのは山々ですけど、やり方自体は間違いではなかったと思いますね。今日のゲームでこれくらいチャンスを作れれば、この先もっと攻撃は形になっていくはずです」
この試合、湘南は昇格争いにおけるプレーの基準を示した。おそらくは最低限の基準だろうが。実際にピッチでぶつかり合い、得られた手応えはどうか。
「相手との差は感じなかったですね。トップを走っていくんだろうと見ていた湘南が今日の出来なら、自分たちにもチャンスはある。僕らがしっかりと戦っていけば、昇格争いはダンゴになって、上を狙える状況になるのでは」
関西弁の柔らかいイントネーションを語尾に漂わせ、内田は言った。強気に聞こえるかもしれないが、これでも控えめに語った程度と見られる。
就任初年度のロティーナ監督の仕事は、始まってまだ3か月。チームの下地が出来かかった段階で、さらなる伸びしろが見込める。
ここで、中盤より前のポジションで先発フル出場を続けるのは内田のみとなった。アクシデントでもない限り、指揮官が交代を命じることはないだろう。この傑出した駆動力を、みすみす手放すはずがない。
取材・文:海江田哲朗(フリーライター)
【PHOTO】美女揃い!Jクラブ応援番組のMC&レポーターたち♥
後半のアディショナルタイム目前、スコアは1-3。東京Vは湘南に2点のリードを許し、敗色濃厚となっていた。
だが、窮地に立たされながらも、チームを駆動させようとする選手がいた。中盤の底に位置する背番号17。今季、G大阪から期限付き移籍で加入した内田達也、25歳。最終ラインからパスを引き出し、縦にボールをつける。少しでも時間が惜しいと、スローインを買って出る。競り合いの強さ、運動量は最後まで落ちない。
戦況とは無関係に、内田は相手からボールを奪い、どうやってゴールへの道筋をつけるか。それだけを考えている。この選手の本質的な強みだ。
90+3分、安在和樹の地を這うミドルシュートが決まったが、東京Vの反撃もここまで。4月9日、注目を集めたJ2上位対決は、湘南の勝利に終わる。東京Vの連勝は5でストップし、首位から引きずり下ろされた。
内田は敗戦を振り返って言う。
「久々に立ち上がりは良かったんですけどね……。自分たちのやりたいようにゲームを進められ、早い時間に点まで取れた。そこで、2点目を取りに行くか、堅く入るかという部分で全体の意思統一が不十分だった。僕自身もクリアになってなかったと思います」
東京Vはミス絡みで前半のうちにゲームをひっくり返され、後半セットプレーから致命的な3点目を食らった。
2点差を追い上げようとするなか、縦パスで攻撃のスイッチを入れ、そこからの崩しのアイデアが不足しているように見えた。だが、着実に進展は見られると内田は語る。
「縦にボールをつけることで、一度中を締めさせ、外からクロスを入れるという形が理想的ですが、今日はアラン(・ピニェイロ)が少し縦に仕掛けるだけで相手が嫌そうにしていた。それなら、できるだけ早く前を向かせて、仕掛けさせたほうがいいだろうと。
ドウグラス(・ヴィエイラ)が入った後は、クロスの意識を強めてチャンスにつなげられました。もっとアイデアを出していきたいのは山々ですけど、やり方自体は間違いではなかったと思いますね。今日のゲームでこれくらいチャンスを作れれば、この先もっと攻撃は形になっていくはずです」
この試合、湘南は昇格争いにおけるプレーの基準を示した。おそらくは最低限の基準だろうが。実際にピッチでぶつかり合い、得られた手応えはどうか。
「相手との差は感じなかったですね。トップを走っていくんだろうと見ていた湘南が今日の出来なら、自分たちにもチャンスはある。僕らがしっかりと戦っていけば、昇格争いはダンゴになって、上を狙える状況になるのでは」
関西弁の柔らかいイントネーションを語尾に漂わせ、内田は言った。強気に聞こえるかもしれないが、これでも控えめに語った程度と見られる。
就任初年度のロティーナ監督の仕事は、始まってまだ3か月。チームの下地が出来かかった段階で、さらなる伸びしろが見込める。
ここで、中盤より前のポジションで先発フル出場を続けるのは内田のみとなった。アクシデントでもない限り、指揮官が交代を命じることはないだろう。この傑出した駆動力を、みすみす手放すはずがない。
取材・文:海江田哲朗(フリーライター)
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