[J1リーグ第5節]広島0-2柏/4月1日/Eスタ
高橋壮也にとって、リーグ戦初先発を飾った柏戦はほろ苦いものとなった。
ミキッチが左ふくらはぎ痛のため、巡ってきたチャンス。「練習や練習試合で良かったので起用した」という森保一監督の期待に応えるべく、高橋は序盤から積極的に仕掛けた。
ただ、12分に中央で待つ工藤壮人にピンポイントクロスを供給した以外に、効果的なチャンスメイクはなし。サイド攻撃を警戒する相手のマークを振り切れず、クロスもコースを限定されてしまった。スプリント回数はチームトップ(22回)、走行距離も同3位(11.447km)と数字上はミキッチや柏好文らに見劣りしないが、やはりレギュラークラスに比べて迫力不足は否めない。それは高橋も痛感している。
「自分の力で(連敗中の)チームを何とかしてやろうと思って入ったんですけど、前半のクロス1本以外はクロスが相手に当たったりで……。もう少し、目の前の相手を剥がす努力をしていかないといけないと思います」
ハーフタイムには、開始23秒の失点で沈む選手たちに森保監督から檄が飛んだというが、チームは反撃の糸口を見出すことができず、0-2で敗れた。高橋も「監督の期待に応えたかった。悔しいっすね」と唇を噛む。
「試合が終わって感じるのは、自分の力のなさと言うか、まだまだ足りないんだなと。この一戦で現状を打破しようと思って臨んだんですけど、それがなかなか形にならなかった。チームが勝ってないので、雰囲気が良いかと言われればそれは良くない。でも、試合はまた来るわけで、落ち込んでばかりもいられない。今日の課題をしっかり持ち帰って、次出る時は今日よりもさらに良いプレーができるようにやっていきたい。チームを勝たせられる選手になりたいんです」
現在の出場機会は柏やミキッチの故障による部分が大きく、経験豊富なベテランが復帰すれば4番手に逆戻りとなる可能性は高い。しかし、今季でプロ4年目の高橋にとってはもう、試合に出場するのは最低限の“ノルマ”。チームを勝利に導く次なるステップに挑戦している。21歳の若武者がこのミッションをクリアした時、広島の新たな“翼”となる道も開けてくるだろう。
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)