[J１リーグ５節]C大阪 ２-０ 横浜／４月１日／金鳥スタ
 
　Ｊ１・５節、C大阪は横浜を２-０で下し、リーグ戦では今季初の連勝を収めた。
 
　勝利の立役者となったのはプロ２年目の木本恭生だ。
 
　ボランチが本職の木本はこの試合、前節の鳥栖戦で左ハムストリングを痛めた山下達也に代わってCBとしてスタメン出場を果たした。ルーキーイヤーだった昨季は、Ｊ２では１試合に途中出場したのみだったが、Ｊ１初先発にもそこまでプレッシャーを感じなかったという。
 
「（試合前に）クラブハウスでミーティングをした時に先発だと言われて、一瞬ですけど、心拍数が上がって緊張しました。でも、その後は（チームメイトに）いじられながら、試合まで時間があったので、相手選手のことなどを考えながら臨めました」
 
　その言葉通り、序盤から落ち着いて横浜の攻撃に対応すると、歓喜の瞬間は59分に訪れた。横浜DFがクリアしたボールがゴール前で高く上がる。落下点に入った木本は、「ボレーは得意なほうなので、あの場面は（ボールに）対空時間があり、考える時間があったので、まずはミートを意識しました。上手くゴールに入ってくれました」と、右足でボールを捉え、力強くゴールへ蹴り込んだ。
 
　昨季、Ｊ２で唯一の出場となった６月８日の長崎戦ではロスタイムに劇的な決勝ゴールを奪い、今季初出場した３月15日のルヴァンカップでは、貴重な先制ゴールをマーク。そして、Ｊ１初出場となった前節の鳥栖戦では山村の決勝弾をアシストし、Ｊ１初先発のこの日、またしてもゴールを奪ってみせた。まさに“持っている男”はしかし、自身の勝負強さは意識していないようだ。
 
「（自覚は）あんまりないです。練習試合ではゴールを決められていないですし、大学でも高校でも点をあまり取ってこなかったので。でも、プロでゴールを決められているのは周りの選手のお陰だと思います」

　C大阪には山下、マテイ・ヨニッチという屈強なCBが揃い、ボランチには山口蛍とソウザという盤石なコンビが構える。木本が今後どれだけの出場機会を掴めるかは分からない。だからこそ本人も常に課題を口にする。
 
「前半は落ち着いてやれましたが、後半に試合が動いてからはやってはいけないミスがありました。伊藤（翔）選手に何回かやられたシーンもあって、ヨニッチ選手がカバーしてくれた場面もあったので、そういうところは修正したいです。DFはああいうプレーで、信頼を失ってしまう。もう一回修正したいです」
 
　今後も熾烈なレギュラー争いが待っているが、それを勝ち抜くだけのポテンシャルは秘めている。存在感を高める男の活躍に期待したい。
 
取材・文：本田健介（サッカーダイジェスト編集部）