「実力がなかった、と受け止めなければならない」
[ルヴァンカップ]FC東京 6-0 仙台/3月15日/味スタ
ルヴァンカップの第1節・FC東京戦。シュミット・ダニエルにとって、3年ぶりにベガルタ仙台のユニホームを纏って戦うJリーグ公式戦だった。
本人はもちろん、周囲が期待に胸を躍らせるゲームとなるはずだったが、まさかの6失点で惨敗。「実力がなかった、と受け止めなければならない」と表情を曇らせる、苦い再出発だった。
2014年に仙台でプロ生活をスタート。J2の熊本(14、15年)や松本(16年)へのレンタル移籍を経て、今季から復帰した。修行先では正GKとして実戦経験を積み、昨年10月にはパフォーマンスと196センチという体格が買われる格好で日本代表候補GKトレーニングキャンプにも招集された。
確実に自信を深めていた。そして、強い決意を持って今季から仙台に復帰。J1で、そして高校までを過ごした街で自らを高めたかった。
開幕前のキャンプ序盤で右肩を痛めたものの、2月10日に行なわれた甲府とのトレーニングマッチで早々に復帰。長身を生かしたセーブや足もとの技術を武器に、関憲太郎の座を脅かしたが、リーグ戦では3節を終えて第2GKに落ち着いてしまっている。
ピッチ脇でベンチに座り、試合を見つめる。「もちろん、リーグ戦出場を目指すことに変わりはない。でも、まずはチームの勝利を願ってベンチワークをする気持ちでいた」という。
日頃から国内外のサッカーを研究する。自らのプレーだけでなく、チーム全体の戦術をイメージしながら練習に励む努力家は、巡ってきたチャンスでアピールしようと張り切っていた。だが……。
14年6月1日のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)7節以来となる仙台の一員としての公式戦で、6度もゴールネットを揺らされてしまった。
もちろん、失点はGKだけの責任ではない。実戦経験の少ないメンバーが多く出場したこの日の仙台は連係が不十分で、1対1のシーンを何度も作られた。それでも、「ボールをどこに弾くのか」と個人的な課題を数多く口にした。
シュミットは「ファーストプレーを確実に行なうことで試合にしっかり入る」という流れを大事にしている。FC東京戦も立ち上がりのセービングを無難にこなしていたが、「少し『ふわついていた感じ』だった。久しぶりの公式戦で、あまり気持ちに余裕を持てなかった」という。
J2での成長も、日本代表候補へのステップアップも、「それらの経験で大きく自分が変わるというより、日々の積み重ねの先にあるもの」として捉えている。成功も、失敗も、確実に血肉としてきた。
仙台での再挑戦。そのミッションにおける“ファーストプレー”は、とても苦いものとなった。3月シリーズを戦う日本代表選考からも漏れた。だが、苦難は慣れっこだ。一歩を踏み出した、という前向きな姿勢によって、大型守護神はさらなる成長を遂げるだろう。
取材・文:板垣晴朗(フリーライター)
ルヴァンカップの第1節・FC東京戦。シュミット・ダニエルにとって、3年ぶりにベガルタ仙台のユニホームを纏って戦うJリーグ公式戦だった。
本人はもちろん、周囲が期待に胸を躍らせるゲームとなるはずだったが、まさかの6失点で惨敗。「実力がなかった、と受け止めなければならない」と表情を曇らせる、苦い再出発だった。
2014年に仙台でプロ生活をスタート。J2の熊本(14、15年)や松本(16年)へのレンタル移籍を経て、今季から復帰した。修行先では正GKとして実戦経験を積み、昨年10月にはパフォーマンスと196センチという体格が買われる格好で日本代表候補GKトレーニングキャンプにも招集された。
確実に自信を深めていた。そして、強い決意を持って今季から仙台に復帰。J1で、そして高校までを過ごした街で自らを高めたかった。
開幕前のキャンプ序盤で右肩を痛めたものの、2月10日に行なわれた甲府とのトレーニングマッチで早々に復帰。長身を生かしたセーブや足もとの技術を武器に、関憲太郎の座を脅かしたが、リーグ戦では3節を終えて第2GKに落ち着いてしまっている。
ピッチ脇でベンチに座り、試合を見つめる。「もちろん、リーグ戦出場を目指すことに変わりはない。でも、まずはチームの勝利を願ってベンチワークをする気持ちでいた」という。
日頃から国内外のサッカーを研究する。自らのプレーだけでなく、チーム全体の戦術をイメージしながら練習に励む努力家は、巡ってきたチャンスでアピールしようと張り切っていた。だが……。
14年6月1日のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)7節以来となる仙台の一員としての公式戦で、6度もゴールネットを揺らされてしまった。
もちろん、失点はGKだけの責任ではない。実戦経験の少ないメンバーが多く出場したこの日の仙台は連係が不十分で、1対1のシーンを何度も作られた。それでも、「ボールをどこに弾くのか」と個人的な課題を数多く口にした。
シュミットは「ファーストプレーを確実に行なうことで試合にしっかり入る」という流れを大事にしている。FC東京戦も立ち上がりのセービングを無難にこなしていたが、「少し『ふわついていた感じ』だった。久しぶりの公式戦で、あまり気持ちに余裕を持てなかった」という。
J2での成長も、日本代表候補へのステップアップも、「それらの経験で大きく自分が変わるというより、日々の積み重ねの先にあるもの」として捉えている。成功も、失敗も、確実に血肉としてきた。
仙台での再挑戦。そのミッションにおける“ファーストプレー”は、とても苦いものとなった。3月シリーズを戦う日本代表選考からも漏れた。だが、苦難は慣れっこだ。一歩を踏み出した、という前向きな姿勢によって、大型守護神はさらなる成長を遂げるだろう。
取材・文:板垣晴朗(フリーライター)