• トップ
  • ニュース一覧
  • 【水戸】「自分たちに何ができるのか」。被災地域クラブで戦い続ける細川淳矢の責任感と苦悩

【水戸】「自分たちに何ができるのか」。被災地域クラブで戦い続ける細川淳矢の責任感と苦悩

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年03月12日

「僕らが行っても元気づけられていないのかなと、感じていた」

3月11日の東京V戦では、警告2枚で退場処分に。「もっとやれたのにって、悔しくて、後悔しかなくて」と細川は唇を噛んだ。(C)J.LEAGUE PHOTOS

画像を見る

 東日本大震災から、7年目の3月11日を迎えた。
 
 当日は各地でJリーグの試合が行なわれ、試合前には犠牲者に黙とうが捧げられる。J1の仙台対神戸は「復興応援試合」と銘打たれて開催された。
 
 選手たちは様々な想いでプレーしていたに違いない。この日、東京Vとのアウェーゲームに挑んだ水戸の細川淳矢も、そのうちのひとりである。震災当時は仙台に所属していただけに、その胸中には特別な感情が沸き上がっていたはずだ。
 
 仙台、水戸と被災地域クラブでプレーを続ける体格の良いDFは、自らの境遇を踏まえて、試合後には次のように語る。
 
「あきらめない姿勢や、強い相手に立ち向かう姿勢とか、気持ちを前面に出してやっていこうと話し合っていました。スタッフもみんな、自分たちがサッカーをやる意味、サッカーで何ができるかを考えさせてくれる映像を用意してくれました。
 
 誰が見てくれているかは分からないけど、少しでもいいから、自分たちの想いが通じてくれればという気持ちは、常に持っています」
 
 仙台時代の細川は、ボランティア活動などを通じて、いろんなことを考えさせられた。
 
「避難所を訪れて感じたのは、子どもたちがいるところは明るい雰囲気だったりしますけど、大人しかいないところは……やっぱり考えこんでいるのか、僕らが行っても元気づけられていないのかなと、感じていたんです。
 
 でも、そういう人たちのために、自分たちには何ができるのかって、仙台の時はみんなで話していました」
 
 当時の思い出を紐解く細川は、言葉を一つひとつ、絞り出すように、ゆっくりと話す。サッカー選手として何ができるのか――これまで何度も自問自答を繰り返してきたはずだ。しかし、明確な答えは見つかっていない。自らも被災者であり、そして復興のシンボルとして戦ってきた男の責任感と苦悩が垣間見えた。
 
「自分らに何ができるのか分からないけど、一生懸命にやる姿勢だったり、負けない気持ちというか、気持ちで負けなければ、負けじゃないと思いますし。何かを伝えられればと、ガムシャラにやっていこうという感じでした」
 
 震災のあった11年シーズン限りで仙台を退団した後、12年の9月に水戸に移籍してからも、細川のスタンスは一貫している。
 
「仙台と水戸、どっちが大変だとかは全然関係ない。比べるものではないし、水戸でもたくさんの方が被災されて、苦しんでいた。サッカー選手として、自分のやるべきことは変わらないし、この気持ちは忘れずに、持ち続けなければいけないと思っています」
【関連記事】
東日本大震災から6年。メッシやバッジョなど世界中から寄せられた当時のメッセージをもう一度
【仙台】黙祷で脳裏に蘇る当時の風景。奥埜博亮はサッカーが持つ力を信じ続けている
【仙台】3.11の復興応援試合で村井チェアマンらが献花。犠牲者の冥福を祈る
[東日本大震災から6年]元J1監督・清水秀彦が避難所の校庭で見た「サッカーの底力」
Jリーガーから年商219億円のベンチャー社長に! 元ガンバMFはいかにして成功を掴んだのか

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ