ひとりの天才のアドリブをチーム戦術として浸透させようとしている。
山口の最終ラインからのビルドアップがほんの少し、ズレた。そこを稲垣祥が見逃さない。そのスプリントはまさに脱兎。迷いのない圧力が相手のボールコントロールを狂わせ、ファウルを犯してしまった。その直後である。驚愕といっていい塩谷司の30㍍キャノンFKが飛び出したのは。
稲垣の迷いなきプレスは、かつて見たことのある光景である。2015年、森崎和幸が清水戦や新潟戦でやり遂げた圧巻の前線プレスからのボール奪取から野津田岳人(現清水)や浅野拓磨(現・シュツットガルト)のゴールにつなげたシーンだ。
ただ、一昨年のこのプレーは、森崎和という不世出の天才ボランチだからこそ成し得たアドリブ。圧倒的とさえ言っていい判断の精度と決断スピードなくして、あの場面は現出しなかった。
だが森保一監督は、そういうアグレッシブな守備をチームの主戦術として導入しようと決断した。昨年、セカンドステージが10位に終わったことへの危機感が「変化」に向けてのアクセルを踏んだと言える。
「もちろん(しっかりとブロックを作る)今までのベースは我々の立ち返る場所であり、そこを忘れてはならない。その上で、攻守共にプレー強度をあげ、運動量を増幅させたい。攻から守へと切り替わった瞬間に厳しくプレスをかける。そこを研ぎ澄ませたい」
アグレッシブな守備を現実化する体力・メンタルを作りあげるため、トレーニングでは瞬発系のメニューを多く取り入れた。しかも、ほとんどの場合がボールを扱いながら、1対1や2対2など対戦モードを保ちながら、である。
メニューそのものが大きく変化したわけではないが、こだわる視点を常に呈示した。紅白戦でも攻守の切替スピードが少しでも遅くなれば叱咤が飛び、素晴らしいチャレンジには拍手が贈られた。昨年まではひとりの天才が組織の中にあってアドリブで表現していたプレーをチーム戦術として浸透させようと、指揮官は選手たちにアプローチを繰り返した。
「これまでチームを支えてきた主力が抜けていく中で、阿吽の呼吸も欠けているし、ミスも増える。だったら、そこをどうカバーするか。走るしかない。そして、より積極的にプレーするしかない。補強についても、運動量と(戦術理解の高い)インテリジェンス、チームのために戦う献身性は、リクエストしたつもりです」
稲垣の迷いなきプレスは、かつて見たことのある光景である。2015年、森崎和幸が清水戦や新潟戦でやり遂げた圧巻の前線プレスからのボール奪取から野津田岳人(現清水)や浅野拓磨(現・シュツットガルト)のゴールにつなげたシーンだ。
ただ、一昨年のこのプレーは、森崎和という不世出の天才ボランチだからこそ成し得たアドリブ。圧倒的とさえ言っていい判断の精度と決断スピードなくして、あの場面は現出しなかった。
だが森保一監督は、そういうアグレッシブな守備をチームの主戦術として導入しようと決断した。昨年、セカンドステージが10位に終わったことへの危機感が「変化」に向けてのアクセルを踏んだと言える。
「もちろん(しっかりとブロックを作る)今までのベースは我々の立ち返る場所であり、そこを忘れてはならない。その上で、攻守共にプレー強度をあげ、運動量を増幅させたい。攻から守へと切り替わった瞬間に厳しくプレスをかける。そこを研ぎ澄ませたい」
アグレッシブな守備を現実化する体力・メンタルを作りあげるため、トレーニングでは瞬発系のメニューを多く取り入れた。しかも、ほとんどの場合がボールを扱いながら、1対1や2対2など対戦モードを保ちながら、である。
メニューそのものが大きく変化したわけではないが、こだわる視点を常に呈示した。紅白戦でも攻守の切替スピードが少しでも遅くなれば叱咤が飛び、素晴らしいチャレンジには拍手が贈られた。昨年まではひとりの天才が組織の中にあってアドリブで表現していたプレーをチーム戦術として浸透させようと、指揮官は選手たちにアプローチを繰り返した。
「これまでチームを支えてきた主力が抜けていく中で、阿吽の呼吸も欠けているし、ミスも増える。だったら、そこをどうカバーするか。走るしかない。そして、より積極的にプレーするしかない。補強についても、運動量と(戦術理解の高い)インテリジェンス、チームのために戦う献身性は、リクエストしたつもりです」