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【英国人記者コラム】イブラなど「ビッグマン」に頼るばかりではイングランドは進化しない!

カテゴリ:ワールド

スティーブ・マッケンジー

2017年02月13日

イブラヒモビッチやキャロルなど“ビッグマン”が活躍。

プレミアリーグ参戦初年度ながら、イブラビッチの巨躯を活かしたパワープレーが猛威を振るっている。 (C) Getty Images

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 私が物心ついた時から、イングランドでは4-4-2がベーシックなフォーメーションだった。13歳ぐらいの若年層、18歳ぐらいの青年層はもちろん、プロリーグに至るまで全てのカテゴリーで4-4-2が根付いていたのだ。
 
 イングランド以外の国であまり根付かなかったこのフォーメーションの特徴は、最前線の一角に「チームで最も大きくパワフルな選手」を配置することにあった。
 
“ビッグマン”と呼ばれるそのポジションに入る選手たちは、ピッチ上で最もスピーディーに動けるタイプではない。むしろ速さで言えば、下から数えた方が早いくらいだ。しかし、彼らは誰よりも空中戦に強く、フィジカルに優れる。何よりもゴールを取ることに長けた人材である。
 
 この“ビッグマン”に目がけてボールを蹴り込むスタイルを追求したことでイングランドは、常に進化を続けるモダンフットボールから置いていかれた。
 
 近年のフットボール界は、アンドレス・イニエスタ、リオネル・メッシ、シャビなど小柄な選手たちを軸としたバルセロナの「ティキタカ」など、パワーよりもテクニックやスピードを重視したスタイルが主流となっている。
 
 世界中にスピーディーなフットボールが浸透していくなかで、プレミアリーグもマンチェスター・Cがジョゼップ・グアルディオラを招聘するなど変化は見せているが、しかし、そこはイングランドである。ここにきて時代に逆行するかのように、シンプルに“ビッグマン”にボールを供給するスタイルが復活しつつあるのだ。
 
 今シーズンにおけるズラタン・イブラヒモビッチ(マンチェスター・U)、ロメル・ルカク(エバートン)、フェルナンド・ジョレンテ(スウォンジー)、アンディ・キャロル(ウェストハム)、クリスティアン・ベンテケ(クリスタル・パレス)などの活躍が、その好例だ。
 
『最前線の長身選手にゴール前での全権を託す』というフィジカルが何より求められる戦術は、もはや、イングランドではナショナル・アイデンティティーだ。パスサッカーを知り尽くした監督が新たに迎え入れられたところで、すぐに変化をもたらすのは簡単ではないのだ。
 
 元マンチェスター・Uのポール・スコールズは、変化のない自国に対し、「よく『イングランドが世界のベストだ』という言葉を聞く。だが、私はスペインがベストだと思っているし、ドイツにもより優れたチームがある。イタリアのリーグは劣っているとも聞くが、それはよく見ていないだけではないか?」とかつて疑問を呈したことがある。
 
 こうした歴戦のOBの声に各クラブのトップが耳を傾けないイングランド・サッカー界は、いつか変われるのか? 私はそれこそがプレミアリーグがさらに進化するための鍵になると考える。
 
文:スティーブ・マッケンジー
 
スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。
 
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