『ピッチ上の頭脳』となった長谷部誠。熟練のリーダーはなぜ“我慢”を選択したか?

カテゴリ:海外日本人

安藤隆人

2017年01月28日

長谷部はいまや、単なる助っ人外国人ではない。

リベロとして機能した長谷部。若いチームを豊富な経験と代表で培ったリーダーシップで牽引する。(C) Getty Images

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 チームを取るか、個人を取るか――。
 
 フランクフルトの長谷部誠は、後者を探りながらも、前者を優先し、チームを勝利に導いた。
 
 ブンデスリーガ18節・シャルケ対フランクフルトの一戦で、3バックの中央で先発出場した長谷部は、想定外の状況に頭をフル回転させていた。
 
 試合前のアップで、シャルケのホームスタジアムのフェルティンス・アレーナのピッチが思っていた以上に荒いことに気が付いた。そして、キックオフ直後から、シャルケが前線のFWグイード・ブルクシュタラーをターゲットに、ロングボールを多用してきた。
 
「ピッチコンディションが良くなくて、さらにロングボールを蹴って来たので、とにかく我慢をして、リスクを冒さない戦い方が良いと思った。ロングボールを蹴って来るということは、中盤が間延びするので、そこでつなぎたかったし、つなごうと思えばつなげる場面もあった。でも、それを取られたらカウンターを受けてしまうので、後ろはとにかく我慢、我慢だった」
 
 ロングボールを多用してくる相手に、蹴り返すことで“応戦”してしまうと、落ち着きのないバタバタした試合展開になってしまう。有効なのは『目には目を』ではなく、間延びする中盤を逆手に取って、つないで崩す戦い方だったはずだ。だが、ピッチコンディションなど状況を総合的に捉えて、長谷部はつなぐという手段がこの日に限ってはリスクを負い過ぎると判断したのだった。
 
「シャルケの前の選手たち、特に19番(ブルクシュタラー)はゴール前に入って行くパワーがある。典型的なストライカーなので、そこでやらせないことを考えた。やっぱり後ろ(CB)で出る場合はひとつのミスが命取りになるし、このチームは若い選手が多く、僕のように経験のある選手がミスをするとチームが落ち着かなくなってしまう。だからこそ今日の試合はセーフティにやった」
 
 長谷部はいまや、フランクフルトにおいて単なる助っ人外国人ではない。チームの中でも経験豊富なリーダーとして、安定感をもたらす存在でなければいけない。それには90分の間に中途半端な判断が出てしまってはならないのだ。そうした危機感を抱いた長谷部は、それゆえ“つなぐ”という個人的な志向を取ることを是としなかったのだ。
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