カリニッチが「カネ」を理由に中国移籍拒否。暗躍する仲介人の手数料があまりにも…

カテゴリ:移籍情報

ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2017年01月27日

キャリアダウンするのは少なすぎる金額だった。

カリニッチ(写真)には年俸1200万ユーロ、フィオレンティーナには移籍金4000ユーロという中国からのビッグオファーが破談となった背景にはある事情が…。(C)Getty Images

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 フィオレンティーナに所属するクロアチア代表FW、ニコラ・カリニッチは中国に「NO」を返した。というよりも、年俸1200万ユーロ(約14億4000万円)という大金に、と言った方がいいだろう。誰にとっても人生を一変させるだけの金額で、それはサッカー選手にとっても同じだ。
 
 ただ、カリニッチがファビオ・カンナバーロ率いる天津権健からのビッグオファーを断った背景には、ひとつの事情があった。
 
 何を隠そう経済的な理由だ。実は提示された1200万ユーロという年俸の4分の1にあたる300万ユーロ(約3億6000万円)は、この移籍を橋渡しした仲介人のファリ・ラマダーニの懐に入ることになっていたのだ。
 
 ラマダーニはカリニッチの代理人トミスラフ・エルツェグ(サンフレッチェ広島でもプレーした元クロアチア代表FW)と非常に近い関係にあるだけでなく、フィオレンティーナのパンタレオ・コルビーノSDとも良好な関係を築いている大物仲介人だ。
 
 いずれにしても、カリニッチの「取り分」は1200万ではなく900万ユーロ(約10億8000万円)だった。ヨーロッパを離れて自らのキャリアを危機に晒すという決断を下すには、少な過ぎる額なのかもしれない。
 
 交渉が始まってから、カンナバーロ監督はカリニッチと頻繁に連絡を取り合ってきたが、それでも本人は最終的に断りを入れた。
 
 間違いなく落胆したであろうカンナバーロだが、気を取り直して新たなターゲットにアプローチを始めている。昨夏にレスターが獲得したイスラム・スリマニだ。
 
 ちなみに、ヨーロッパのメルカートは1月31日に閉じるが、中国の市場は2月26日まで開いている。まだまだ目が離せない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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