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【小宮良之の日本サッカー兵法書】答のない世界……選手育成をめぐるパラドックスとジレンマ

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年01月26日

クラブとしての明確なビジョンが優れた才能を発掘、育成する。

エバートンでウイングとして力を発揮したデウロフェウは、ミランでの挑戦を開始した。才能、人間性、相性、タイミング、縁、そし運……才能が開花するには様々な要素が必要なのだろう。写真は2011年のプロデビュー時。 (C) Getty Images

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 バルセロナにとって、リオネル・メッシは決して“突然変異”などではない。クラブには、メッシのような選手を発掘、育成する明確なビジョンがあったからだ。
 
「対面する敵に勝てるスピード、スキルを同時に持つこと。動きにスケール感があり、周囲と連係しながら決定的な仕事ができる」
 
 相手に致命傷を与えられるか――。それはひとつの基準だろう。
 
 メッシの前には、同じ左利きのナノという「リバウド二世」ともいわれた攻撃的MFがいた。現在のバルサBには、「ミニ・スタディのマラドーナ」と呼ばれるカルレス・アレーニャがいる。
 
 それぞれ、プレースタイルがまるっきり同じというわけではないが、敵エリア付近で違いを見せ、攻撃の旗手となれる存在感を示すという点では共通していると言えよう。
 
 そして、2011年に17歳でトップデビューを飾った際にはメッシ以上のインパクトを放っていたのが、先日、エバートンからミランへの移籍を果たしたジェラール・デウロフェウである。
 
 大柄ではない(171センチ)のだが、まるで全身にバネが入っているかのようなであり、立ち止まった状況から弾むようにスピードアップし、いったん急停止してから相手の逆を取って再び発進……。十代の選手とは思えないポテンシャルだった。
 
 ボールを完全に支配下に置き、思うままに操れるし、ビジョンも閃きを感じさせ、性格的にも大人と相対しても怯まない。
 
「メッシを超える」
 
 そんな予感さえあった。
 
 しかし、デウロフェウはジョゼップ・グアルディオラ監督には重用されなかった。理由ははっきりしていた。気性が荒く、自分をコントロールすることもままならなかったのである。虚栄心が強く、相手を侮ることがあり、増長しやすい性格というのか。
 
 結局、デウロフェウは有り余る力を持ちながら、いまだ大きな飛躍は遂げられずにいる。もっとも、20歳にしてスペイン代表でデビューし、22歳でプレミアリーグのエバートンで定位置を獲得したのだから、決してネガティブな経歴ではないのだが……。
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