• トップ
  • ニュース一覧
  • 【清水】虚勢を張っていた”人間ブルドーザー”。鄭大世がスランプのなかで気づいた本当に大切なものとは?

【清水】虚勢を張っていた”人間ブルドーザー”。鄭大世がスランプのなかで気づいた本当に大切なものとは?

カテゴリ:Jリーグ

飯尾篤史

2017年01月26日

川崎でプロ5年目となる2010年、キャリアの絶頂期を迎えていた。

川崎時代は、J1リーグで計46ゴールをマーク。2010年シーズンの5節・FC東京戦では2得点を奪い、エースの貫禄を示した。写真:石倉愛子

画像を見る

 朝鮮民主主義人民共和国代表(北朝鮮代表)の一員として出場する南アフリカ・ワールドカップの初戦を目前に控え、ブンデスリーガ2部のボーフムへの移籍を決めた時、鄭大世には、天へと伸びる階段がはっきりと見えていた。
 
 その階段を上がっていけば、プレミアリーグ移籍やブラジル・ワールドカップ出場、欧州チャンピオンズ・リーグ優勝といった夢に辿り着けるはずだった。
 
 ところが、上がり始めてからほどなくして、階段を大きく踏み外してしまう。
 
「確かに輝いていましたね、2010年の僕は。でも、あの年を最後にスランプに陥るんです。そこから闇が始まって、ずっと低空飛行。その後3年ぐらい、ゴールを取れる気がまるでしなかった」
 
 キャリアの絶頂期を迎えたはずのストライカーに、何が起きていたのか――。

 大世にとってヨーロッパでのプレーは、高校時代からの夢だった。
 
 いつしか憧れの対象はセリエAからプレミアリーグへと変わったが、朝鮮大から川崎フロンターレへの加入が決まった際、契約書に「海外移籍の場合は容認する」との条項を盛り込んだほど、ヨーロッパでのプレーを夢見ていた。
 
「もちろん、その頃は現実味がなくて、単なる夢だったんですけどね」
 
 夢に過ぎなかった海外移籍を現実のものとして意識するようになるのは、2008年シーズンを終える頃からだ。
 
 プロ2年目の2007年から試合に常時出られるようになり、そのシーズンに12ゴールを決めると、2008年シーズンも14ゴールと、2年連続ふた桁得点を記録する。
 
 猪突猛進といった勢いでゴールを目指す姿から「人間ブルドーザー」とのニックネームを拝命し、2007年シーズンのJ1得点王であるジュニーニョとの2トップはJ1屈指の破壊力を誇った。
 
「優勝争いも当たり前、ふた桁得点も当たり前。その頃からですね、現状に物足りなさを覚えるようになったのは」
 
 2009年シーズンも14ゴールを決めた大世は、ワールドカップイヤーである2010年の目標を海外移籍に定めた。それにはワールドカップで活躍する必要があり、ヨーロッパのリーグでも太刀打ちできるまでに成長する必要がある。
 
 おのずと視線は、チームではなく、自身に向けられた。
 
「代表では僕が突破しないことにはチャンスが生まれないから、フロンターレでは個の力を磨くことだけを考えて、守備をまったくしなかった。それで監督の高畠(勉)さんにすごく怒られた。今は『なんて愚かだったんだ』って思うけど、当時は気にしてなかったですね」
 
 中村憲剛という稀代のパサーと、ジュニーニョという相手が最も警戒するストライカーのおかげで自身にシュートチャンスが巡ってくるということに、若き日の大世は気づいていなかったのだ。
 
 もっとも、2010年シーズンの序盤は中村もジュニーニョも怪我で離脱していた。それでも大世は10試合で5ゴールを奪ってみせた。
 
 自信は膨らむばかりだった。
【関連記事】
【清水】J1昇格&得点王獲得に鄭大世が歓喜の涙。「この1年はほんとにきつかった」
【J2】清水が8連勝で自動昇格圏の2位浮上! 鄭大世は7戦連発でJ2タイ記録
好調清水の原動力!鄭大世が10月のJ2月間MVPに輝く
【清水】「ゴールへの欲は捨てた」鄭大世は、低迷するチームに落ち着きをもたらせるか

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ