[選手権２回戦]富山一 ４-１ 那覇西／2017年１月２日／三ツ沢

　最初の失点の場面について訊けば、さすがに言葉を詰まらせた。
 
　前半７分、那覇西のCB比嘉来揮は、ゴール前に放り込まれた富山一のFKをヘッドで弾こうとしたが、クリアボールは不運にも自陣ゴールに吸い込まれてしまった。
 
「『まだ時間があるから大丈夫』と、先輩たちは言ってくれました」
 
　１年生ながら最終ラインでスタメンを張った。大会の初戦だったが、「落ち着いて試合に入れました。緊張はしていなかったです」。
 
　テクニックにはあまり自信がないと言う。だから「粘り強い守備と、常に声を出し続けること」を意識して、オウンゴールした後も気落ちすることなく、懸命なディフェンスを見せた。どんな状況でも、臆せずにチャレンジする姿が印象的だった。
 
　ただ、その後も富山一のセットプレーを生かした攻撃の前に手を焼き、最終的には４失点を喰らった。
 
「相手があまり前から来なかったので、ドリブルで運んで、相手がどう動いたかで攻撃しようとしていたんですけど、結局、相手が動くのを待てなくて、パスミスとかして、自分たちのミスで崩れてしまった感じです」
 
　試合を通したパフォーマンスについては、厳しい評価を自らに下す。
 
「勝てなかったら意味がない。１年生だから、試合に出て凄い、じゃなくて、出てるからには学年に関係なくプレーしないと、と思っていたんですけど、全然何もできなかった」
 
　この悔しさがさらなる成長の糧になるはずだ。将来が楽しみな１年生CBは、「来年に向けてまた、今まで以上に頑張らないと」と、言葉に力を込めた。
 
取材・文：広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）