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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』其の百「大事なのは『何人いるか?』ではなく『どこにいるか?』だ」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年12月09日

数的優位を突き詰める先には、「優位性」など存在しない…。

ポゼッションサッカーは数の原理で成り立っているわけではない。サッカーの基本を忠実に守ることが、魅惑のサッカーの礎となっている。 (C) Getty Images

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「数的優位が大事」
 
 それは日本サッカー界において、「1+1は2」のように、当たり前に語られる。
 
 しかし、いい加減、数的優位などという幻想を打ち砕くべきだろう。
 
 世界標準で、数的優位とはひとつの現象、状態でしかない。数的優位を作ることを目的としても、戦術的に正解へたどり着くことはないだろう。そこに、優位性など存在しないからだ。
 
 今シーズン、スペインのコパ・デル・レイで、バルセロナは格下の2部B(実質3部)エルクレスと一戦を交え、1-1と引き分けている。
 
 バルサは右サイドでの守備において、3人の選手が三方向から、ドリブルするアタッカーを囲みながらも、間合いを与えてしまう。そこで最適のタイミングでクロスを挙げられ、ファーポストまで通されて、ゴールを叩き込まれた。
 
 すなわち、数的優位でありながら(しかも実力的には格下に)、失点を喫しているのだ。
 
 なぜ、この失態が起こったのか?
 
 それは、良いポジションを奪われていたからだ。相手のアタッカーはボールを運びながら、3人の選手のプレスが及ばない空間を探し当てていた。ポジション的な優位があった。問われるべきは、数的優位ではない。
 
 ポジション的優位を、突き詰めるべきなのだ。
 
 同じコパ・デル・レイ、レアル・マドリーは2部Bのクルトゥラルと対戦し、6-1と勝利を収めている。
 
 着目すべきは、クルトゥラルの戦い方だった。あまりの戦力差に、押し相撲で寄り切られたものの、自陣からパスを繋げ、ボールを運ぶトライを続けていた。
 
 それには、良いポジションを取る努力が欠かせない。技術は低かったが、その戦術的練度は高かった。そして、一矢を報いた得点シーンはその証左だろう。
 
 左からのクロスを跳ね返されるも、それをエリア内で拾い、シュートをブロックされるも、こぼれ球をエリア外で拾い、ゴールに迫ろうとするところを再びブロックされるが、さらにそれを後方で拾い、ダイレクトで右足を振り抜くと、左サイドに突き刺さった。
 
 つまり、3度もボールを拾っている。つまり、攻撃におけるポジショニングが良かった証拠で、ポジション的優位を作っていたのである。
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