【蹴球日本を考える】鹿島での一戦はJリーグの宣伝になったのか?

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2016年11月30日

最後まで没頭できたのは当事者のファンだけだろう。

球際での激しい戦いはあったものの、試合は両チームが持ち味を出し切った内容ではなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 浦和が先勝したチャンピオンシップ決勝第1戦は、日本一を決める試合としては物足りないものだった。
 
 いい試合にならなかったのは、挑戦者である鹿島がいいところを出せなかったからだ。
 
 第1ステージを制した時の鹿島は、両サイドからの崩しが脅威になっていた。2、3人が敵の懐を執拗にかき回すようにしてサイド奥深くに侵入し、巧みにゴールを陥れる。だが、この夜は右の遠藤、左の中村が働けず、いい形がほとんど生まれなかった。
 
 一方の浦和も本来の幅を使った攻撃は陰を潜め、中盤での我慢比べのような形が続いた。
 
 ホーム&アウェーとはいえ一発勝負。こういう堅い試合になることは意外ではない。だが堅い試合であっても、緊迫感に欠けていた。局地戦は激しく、闘志はそれなりに伝わってきたが、技術が気持ちに追いつかず、ゴールの予感のないまま時間が過ぎていくばかりだったからだ。
 
 CSを導入したメリットは、リーグ戦が終わったあとにもうひとつクライマックスを作るということにあった。その是非はともかく、Jリーグの最高峰のプレーを改めて多くの人々に見てもらうというのは、ファンを開拓する意味で有効だろうと思われた。
 
 だが鹿島での戦いは、ほとんど盛り上がりのないまま終わった。最後まで没頭できたのは、当事者である鹿島と浦和のファンだけだろう。第三者が手に汗握るような、面白いものにはならなかった。Jリーグの宣伝になったとは思えない。
 
 考えてみれば、CSのほとんどがそうだ。
 等々力での準決勝も川崎があっさりと敗れて拍子抜けしたし、広島が優勝した昨年のCSも名勝負を見たという記憶がない。
 
 日本一を決める試合に、それにふさわしい試合ができないというのは悲しいこと。
 深夜、東京の自宅に帰ると「試合どうだった?」と尋ねられた。
「面白くなかったよ。でもまあ、そんなもんでしょ」
 
 サッカーに限らず、ひとは心を動かされると誰彼構わずそのことを話したくなるものだ。鹿島での一戦はそうではなかったので、会話は続かなかった。
 
 せっかくの日本一決定戦が、「そんなもん」で終わっていいのか。 4日後、埼スタで行なわれる第2戦では、だれもが話題にするような名勝負を見たいものだ。
 
取材・文:熊崎 敬(スポーツライター)

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