混迷したインテル新監督人事…ピオーリ招聘までの舞台裏とは?

カテゴリ:メガクラブ

手嶋真彦

2016年11月09日

意思決定プロセスの複雑化が決断を遅らせた。

インテル新監督の最終候補に残った(左から)ピオーリ、マルセリーノ、ゾーラ。個人面接を経て、最終的にはピオーリが選ばれた。マルセリーノは「強化に関する白紙委任状」と「350~400万ユーロの高年俸」の要求がネックになったとも。(C)Getty Images

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 最初に“当確”と報じられたのは51歳のスペイン人指揮官、マルセリーノ・ガルシア・トラルだった。ビジャレアルを率いた昨シーズンはリーガ・エスパニョーラでいわゆる“3強”に続く4位に入り、チャンピオンズ・リーグの出場権を手に入れている。
 
 ミラノを舞台とする“面接”に呼ばれた新監督の最終候補は、今夏のビジャレアル退団でフリーになっていたマルセリーノを含めて3人。インテルの新監督が一時的に、その3人では唯一の外国人に決まりかけたのは間違いない。マルセリーノは“面接”に臨んだ翌日までミラノのホテルに留まり、吉報を待っていたのだ。
 
 11月1日に解任を告げられたフランク・デブールの後任監督選定に1週間という時間が掛かった大きな理由は、クラブの意思決定プロセスの複雑化に求められる。最終的な決断を下す最大株主の中国資本(蘇寧グループ)は、プロサッカーの世界では素人同然でしかない。
 
 その素人集団が頼りにしているイラン人で、本来は代理人のキア・ジョーラブシャンが“相談役”として大きな影響力を及ぼす一方、イタリア人のディレクターチーム(スポーツディレクターのピエロ・アウジリオなど)による新監督候補のリストアップがあり、中国資本に株式の多くを譲渡した後も会長に留まるエリック・トヒルが遠く離れたインドネシアから選考に関わっていたのだ。さまざまな情報を総合すると、今回の意思決定は以下の経緯でなされたようだ。
 
 最終候補3人の“面接”を一通り終えた時点で、最大株主の蘇寧グループが選んだのはマルセリーノだった。ビジャレアルをCL出場権獲得に導いたプロジェクトの進め方や、人物としての魅力がその大きな根拠となっていた。
 
 そもそも蘇寧グループが新監督に求めていたのは、中国人にもよく知られるネームバリューであり、国際的な実績だった。しかし、そうした条件を満たす大物の招聘は、先方から断られるか、法外な要求を突き付けられるかなどして、ことごとく断念せざるをえなかった。
 
 該当する大物はファビオ・カペッロ(元ロシア代表監督)であり、ロラン・ブラン(前パリSG監督)とレオナルド(元インテル監督で現在はTVコメンテーター)もここに含まれる。蘇寧グループの相談役ジョーラブシャンが推していたフース・ヒディンク(元チェルシー監督)は、カペッロと同様に本人がデブールの後任監督就任に消極的だった。結局は、「採用の保証がない限り“面接”には臨めない」と拒否された。
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