ピケの引退宣言に揺れるスペイン代表…。急務なのは慰留よりも後継者探しだ

カテゴリ:ワールド

豊福晋

2016年10月12日

自国サポーターからの批判に「疲れた」。

アルバニア戦後に代表引退を表明したピケ。度重なる個人批判に嫌気が指したようだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 10月9日にアルバニア代表とワールドカップ予選を戦ったスペイン代表。その試合後のミックスゾーンで発表された「ジェラール・ピケの代表引退」というニュースは、2−0で勝利した試合内容よりも現地メディアで大きく報じられた。
 
「別に今日決めたことじゃない。もうしばらく前から考えていたことだ。2018年のロシア・ワールドカップをもって代表を引退する。疲れたんだ」
 
 ピケが言う「疲れた」というのは、彼に浴びせられる自国サポーターからの批判のことだ。
 
 思ったことをすぐに口にしてしまう性格のピケは、カタルーニャ独立支持を含めて度々その言動が問題視され、スペイン国内でブーイングを浴びてきた。生粋のバルセロニスタゆえ反レアル・マドリーの精神も強く、事あるごとにマドリーを揶揄。クリスチアーノ・ロナウドや代表でチームメイトだったアルバロ・アルベロア(現ウェストハム)らと舌戦を繰り返してきた。
 
 結果、マドリー側のメディアやサポーターに目の敵にされる。件のアルバニア戦でピケは、「長さが微妙だったから」と長袖ユニホームを自ら切って半袖にして着用していた。すると、「赤と黄色のストライプ(スペイン国旗)をわざわざ切った」と激しく糾弾された。
 
 スペイン・サッカー連盟が公式HPで異例の発表をしたように、そもそも長袖ユニホームにストライプは付いていなかった。つまり、完全な“言いがかり”だったわけだ。本人曰く、この一件で「しずくでコップはいっぱいになった」という。
 
 この騒動の後、『マルカ』紙が行なった緊急アンケートでは、90%以上の人が「ピケの決断を理解できる」と回答。マドリー寄りのメディアまでもが、「考え直してくれ」というピケの代表継続を求めるキャンペーンを“今さらながら”張っている。
 
 ピケが公言したのは、即ではなく、ロシア・ワールドカップ限りでの引退である。これまでの経緯を考えれば、今夏のコパ・アメリカ・センテナリオ後にアルゼンチン代表引退を表明するもすぐに撤回したバルサの同僚リオネル・メッシのように、決断を覆す可能性は極めて低そうだ。
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